2月1日
「選手と信頼関係ができていると思っていたが一方的だった」
柔道女子日本代表・園田隆二監督が記者会見で話していたフレーズです。
自分は選手と信頼関係がしっかりできていると信じていたが実は一方的にそう思っていただけで選手の方は監督を全く信頼していなかったと。
これをビジネスに置き換えると。
「社員と信頼関係ができていると思っていたが一方的だった」
となります。今回は体罰をしていたということでクローズアップされたわけですが、ビジネスの現場で体罰に変わるものは言葉の暴力や逆に無視するなど態度による態罰で。
結果生産性に影響を及ぼしたり場合によっては心的ストレスにより精神疾患を患ったり退職に追い込むことになることも往々にしてあるわけです。
心理学で「ラポール」という言葉があります。
直訳すると「信頼の架け橋」。人と人との間には谷があり川が流れていて。言葉という「荷物」を相手に渡す時はそこに橋を架ける必要があり。重い荷物(言葉や想い)を相手に渡すには太くて頑丈な橋がなければつぶれて谷に落ちてしまいます。
「今関係が上手くいってないと思う人を想像してください。その人との間にはどんな橋がかかっていますか?太い頑丈な橋ですか?それとも細くて折れそうな丸木橋ですか?」
もちろんお互いに太い橋が架かっていればいいのですが、細い橋なら心配です。挨拶くらいの軽い荷物なら渡せますが重要なミッションや悩みは恐らく渡すことは無理でしょう。
話が相変わらず回りくどくなりましたが。
今回の園田監督のケースは自分では太い橋が架かっていると信じていたのに選手から見れば細い橋、もしくは全く橋など架かっていなかったということです。
実はビジネスの現場でもこのケースがたくさんあります。
金メダルという目標。予算達成という目標。監督の指示は絶対。上司の指示は絶対。誰でも出世したい。誰でも昇給したい。そんな価値観を誰でも共通して持っていると思い、その共通価値観を信頼と勘違いしてしまっているのではないでしょうか。
自分の価値観が絶対正しいなんてことは有りえない。人の価値観は多種多様なんだと認めることから始めること。
もし相手との間にちゃんと橋が架かっていないなと感じた時は。
相手から架けてくるのを待つのではなく自分の方から架けに行く勇気も必要ですね。
監督を経営者に置き換えてみて、今回の事件は他人事ではなく私たちの身近にいくらでもあるコミュニケーションの問題だと改めて感じました。
ワタスも進退伺いを出さないように心して経営にあたりたいと思います。