保険ビジネス最前線。金融先進国アメリカのFD、インシュアテックはどこまで進んでいるのか。
保険ビジネス最前線。金融先進国アメリカのFD、インシュアテックはどこまで進んでいるのか。

今週は火曜日からニューヨーク(NY)に視察に行っており先ほど羽田空港に到着し帰りの新幹線で意識朦朧の中このブログを書いている時差ボケ欲ボケ天然ボケのトリプルボケ老人@ケーホリーですこんにちは。

それにしても。

NYは何回も行っているのですが、いつ行ってもこの街のエネルギーの高さにテンションが上がります。古い建造物と先進的なビルが調和し、歩く人たちのお洒落度も高く、世界各国から一旗揚げようとチャレンジしてくる人たちの想いがそのエネルギーを感じる要因かもしれません。NYというブランディングが出来上がっているのか、何を見ても「さすがNY」と思ってしまいます(笑)



今回のワタスなりの目的は3つでした。
1. 米国の金融業界におけるフィデュシャリーデューティ(以下FD)はどうなっているのか、果たして日本に比べていかに厳しいのか否か。またフィンテックやインステックの浸透度はいかほどのインパクトを与えているのかを知りたい。
2. 世界の最先端を行くNYでどんなビジネス、どんなお店が台頭し、ニューヨーカーの支持を集めてているのかをこの目で確かめたい。
3. 同業の業界トップ経営者との交流を深め、刺激をもらい、相互研鑽や情報連携できる仲間を増やしたい。
この3つから、これから日本は、保険業界は、自社は、そして自身はどうあるべきかの気づきを得、これからの活き方に反映することが目的でした。

まず1:最近このFDという言葉は理解されづらいということからか、日本では「顧客本位の業務運営原則」という言葉に置き換えられました。意味をかなりざっくりばっくり表現すると、「金融事業者は自社や社員(募集人)の利益を優先した業務運営をするのではなく、顧客にとっての最善の利益を追求することを使命として業務運営をしていくのだぞ。わかってるよな。」ということです。
このFD導入によって金融業界はどうなっていくのかは、金融先進国アメリカの状況を見れば日本の未来が推し量れるのではないかという仮説の元、某米国に本社を置く保険会社さんを訪れ、現地の状況を現地のマネージャーに直接ヒアリングする機会をいただいたのです。

LIMRA(米国の生命保険調査会社)のバイスプレジデントによると、実は米国でも2年前にDOL(労働省)がルールの提案を公開し、今年4月に導入が予定され(トランプ政権の影響かどうかはわかりませんが、延期になったようです)、来年1月には全ルールが順守される運びとなっています。そういう意味では米国もまだこれからということですが、英国では既に10年前から厳しい規制が導入されており、それによりFPは半数以上が経済的に立ち行かなくなっていると。

よって調査によるとほとんどのアドバイザーがFD導入による悪影響(生産性低下)があると予想しており、「ビジネスのやり方は既に変化している」「コンプライアンス以上のことであり、、ビジネスそのものの転換である」という結構厳しい表現をされています。

またそのためには、ユーザーエクスペリエンス(顧客体験)に焦点を当てること、つまり顧客の感情に寄り添い、いかに一連のサービスや商品において感動体験を引き出すかが重要であると述べられました。
これは日本でも同様ですね。感度の高い募集人や代理店経営者は既にそのことに気づいており、自社の差別化戦略を粛々と実行していると思います。そういう意味では日本も米国もその変化を先取りしてチャレンジしていくところしか選ばれなくなるということでしょう。

少し話は跳ぶかもしれませんが、米国では1社専属のFPでも保険以外の年金商品や投資信託など投資商品を販売しています。近年は直販チャネルより代理店チャネルのほうがシェアはかなり大きくなっているとのこと。日本においても乗合代理店の規制は厳しくなってはいるもののそれでもシェアは代理店チャネルの方が大きくなっていくのではないでしょうか。更に保険特化のビジネスモデルではこれからは成長性が期待できず、世の中から○○屋という単一業種が消えて行っているように、金融全般から総合サービス業、総合コンサルティング業などに発展させていかなければ、生き残っていけないような気がします。

また、フィンテック、インステックの普及状況は、はっきり言って全く見えませんでした。これは今回コーディネートしていただいた保険会社が、リアルなコンサルティングに強みを持っている会社であるがゆえに、コンペチターと成りえるテクノロジー系の情報をあまり持っていなかったからかもしれませんが、米国でも生命保険の分野ではまだ脅威とはなっていないのでしょう(レモネード社(モバイルで完結する家財保険)に突撃を試みましたが玉砕しました)




その2:まず日本食屋さんの行列が半端じゃないこと。いきなりステーキ、ラーメン屋の一風堂、日本式居酒屋などどこもかなり繁盛しているのです。日本の食文化、サービス業としてのホスピタリティは世界で通用するのだなと実感。またNYは街全体が健康志向。オーガニック系のハンバーガーショップ、日本にも進出しているシャイクシャックやベアバーガー(美味しかった)、フレッシュジュースのJOE&THEJUICE(味は微妙ですが身体にはいい感じ)、ニューヨーカーたちのトレーニングウェア(レギンスにスニーカー)比率の高さにも驚きました。京都ブランドの抹茶系スイーツなんかは行けるのでは無いでしょうか(もちろん保証はしません(笑))





残念ながら企業訪問はほとんど出来なかったのですが、それでも1社WeWorkのシェアオフィスに潜入することができました。このWeWorkは起業数年で400億円以上の資金調達をし、NYを拠点として凄い勢いで世界中にオフィス展開をしているベンチャー企業。中に入った感想はお洒落で落ち着きのある空間で確かにスタートアップ企業が働きやすそうな環境で、スペースもオープンタイプから20人くらいは入れるクローズなオフィス(といってもスケルトン)があります。
ただ、日本にもシェアオフィスは既にあちこちでありますし、シェアリングエコノミーという考え方ではオフィスビルの空室を貸会議室として展開するTKP社のモデルに近いような気もしますので、決定的な新しさや強みまでは見いだせずじまいで終わりました。どなたかここがスケールできた決定的要因をご存じであれば教えてください。ただ、もしワタスがNYに拠点を出すとしたらまずこのオフィスから始める可能性は高いかな(笑)因みにレモネード社もWeWorkを借りていました。




そして3:流石に最高経営者会議という名前だけあって、意識も業績も高い経営者ばかりが集まり、意見交換ができましたのでとても刺激になりました。5日間侵食を共にすれば本音を言える関係構築ができます。帰国してからもお付き合いできる経営者が増えただけでも充分意義はあったと思います。

まとめ:今は瞬時にネットで世界中のどんな情報も取れる世の中ですが、それでもリアルにその現場の人や場所からライブで得られる体験はとても貴重だと再認識しました。保険会社主催の海外研修はおそらく今期で無くなりますが、これからも継続して海外に出向き、生の情報を取りに行きたいと思います。

特に今回は急成長する若き経営者K氏と終日行動を共にしたのですが、英語ペラペラかつ情報感度が高く、どこに行くにもスマホを駆使し、シティバイク(レンタルバイク)を借りたり、Uberをササっと手配したりと何から何までアテンドしてくれて、そのスマートさに感動かつとても勉強になりました。

兎に角この街に行くとチャレンジスピリッツに火をつけてくれますね。月並みですが、ワタスも死ぬまでには英語をマスターすることを新たな目標に掲げたいと思います(笑)




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