「2001年9月11日。あの事件を僕は東京で聞いた。仕事を終えて帰った恵比寿のワンルームハイツ。何気にテレビをつけると飛び込んできた映画のような驚愕シーン。
間もなく当時働いていた恵比寿ガーデンプレイスのエントランスには緑色のバリケードが張られ、何人もの警備員が入口に立ち、社員と言えども身分証明書を提出しないと入れなくなった。
実はその年は僕にとっても特別の年だ。3月末付けで10年在籍していた某保険会社を退職し今の会社を立ち上げたからだ。熟考しての判断というより直感に従っての決断だった。また、普通ならそのまま保険代理店として独立したのだから自ら保険営業に集中するだろう。でも僕は敢えてそうしなかった。まず辞めることを決め、1年は新しいモデルを創るための準備期間にしようと思ったのだ。
家族もあるし買ったばかりの住宅に目一杯のローンもある。約5,000万の高額報酬を捨てて起業したと言えば格好いいかもしれないが生活していくためにはとにかく稼ぐ必要があった。だから3月末で退職し4月1日から某マーケティング会社の雇われ役員に就任し、単身赴任で出稼ぎ?に来ていたのだ。
でも、ただ稼げればどこでもよかったわけではない。なぜわざわざ東京に引っ越し、当時の収入の4分の1程度になってでも来たのかと言うと、その会社のビジネスモデルが私が保険業界でやりたいモデルに応用できると思ったからだ。その会社は母体がフランチャイズ組織を運営しており、膨大な顧客を会員化し、そのデータベースを活用した様々な企業のマーケティング支援をしていた。
その業界の知見やキャリアなど全くなかった僕がいきなり取締役ゼネラルマネージャーとして迎え入れられたのは、当時の社長が友人であり営業部隊をマネジメントするというミッションにおいて、前職の実績を買われたからだ。よって僕は自分のビジネスに活用できるノウハウをその組織に飛び込んで学びとるというミッションを自らに課しながら、オフィシャルには社員を育成しながら営業予算を達成させるというミッションを背負っていた。
恵比寿という街は当時東京で最も華やかな場所だったのではないだろうか。
特に年末が近づくとガーデンプレイスのステージには巨大なバカラのグラスツリーが飾られ、夜になるとデートスポットとして若いカップルで賑わっていた(実はつい先日恵比寿に行くと当時と同じ風景で、その時の思いがフラッシュバックしたのでこのコラムを書いています)
その華やかな街で僕はと言うと・・
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