ユング博士
お陰さまでホロスプランニングも設立5周年を迎えることができました。もちろん総てが当初の計画通りなんてことはありません。でも紆余曲折はありましたが、たくさんの人たちに支えられながらこうしてうんうん唸りながらでもコラムを書かせてもらってる「今」に感謝感謝です。
先日開催しました「第12回ホロス・オーナーズカンファレンス」も当社のプランナーや取引先企業を中心に150名もの参加者の方々に集まっていただき、暖かい評価をいただきました。その中の私のプレゼンスピーチでは、5周年ということもあり、この組織をなぜ、どういう想いで創ろうと思ったかを振り返りました。
当時私の創りたかった組織のイメージは、「ミュータントメッセージ(マルロモーガン著)」の”真実の人族”的組織でした。
この本は、著者のアメリカ人女性(ミュータント)が、オーストラリアの先住民族アボリジニ(真実の人族)とオーストラリア大陸を120日間で横断した記録です。ニューエイジ系の人たちにはバイブルとして知られています(実はフィクションと批判されているものもあります)
彼らの生き方は現代人が忘れていた様々な気づきを与えてくれるのですが、私的にはその部族の組織?にいたく感銘を受けました。
部族たちはそれぞれの得意分野の異名を有しており(ex.石探し名人、女の癒し手)そのエキスパートとして全員が尊敬されています。旅している間に訪れる状況によって、エキスパートが適時活躍し困っている仲間や組織のために貢献していきます。族長は精神的指導者として部族を導きますが決して支持命令型のリーダーシップを行わず、あくまでもフラットな、階級のない部族(組織)運営で大陸を横断していくのです。
当時、マネジメントしていた組織では完全歩合制であったこともあり、所属するメンバーの間でも年収は実に100倍もの差がついてしまいます。成果がだせない営業パーソンも少なからず存在しており、なんとか「食える」営業パーソンにできないかと日々悩んでいました。彼らは決して能力が低いわけではないのに、その持ち味、優れたところを中々発揮できず、本来の輝きを無くしているのです。
そこで自己完結で結果を出せなくても、個々の異能分野を組合すことで相乗効果が発揮される組織、ストレスフリーでかつ自分の能力を惜しみなく与えることで顧客や組織に貢献できる仕組みできればいいなという想いが「真実の人族」の活きかたとオーバーラップしたのです。そんな思いで5年が経過し、成長はしているもののまだまだ理想の組織には程遠い状況です。そして最近出合った「ウェブ進化論(梅田望夫著)」で私が求める組織形態がウェブの世界ではすでに現実に起こっていることを知り、とてもエキサイティングな感覚を味わいました。以下に、その部分を抜粋しながら説明します。
オープンソースとは、あるソフトウェアのソースコードをネット上で公開し、世界中の不特定多数の開発者が、自由にそのソフトウェア開発に参加できるようにし、大規模ソフトウェアを開発する方式のことである。
ソフトウェアが構築されていくプロセスがすべてオープンになっていて、劇場的空間の中でイノベーションの連鎖が起こっていくのだ。こんな世にも不思議な方法で開発されたリナックスの成功は、「企業組織の閉じた環境において厳正なプロジェクト管理のもとで開発されるもの」という大規模ソフトウェアの常識を完全に覆してしまった。
オープンソースの本質とは、何か素晴らしい知的資産の種がネット上に無償で公開されると、世界中の知的リソースが自発的に結びつくことがある」ということと「モチベーションの高い優秀な才能が自発的に結びついた状態では、司令塔にあたる集権的なリーダーシップが中央になくとも、解決すべき課題に関する情報が共有されるだけで、その課題が次々と解決されていくことがある」ということである。
当時広く使われていたソフトウェア製品は、どれをとっても一企業の閉じた環境で開発されたものばっかりで最高機密であり、大規模プロジェクトを組織して製品開発するのが常識であった。これに反し、誰にも強制されず、一円も貰わず、ただ「好きで楽しいから」素晴らしいプログラムを書き、新しい価値を創造していく仕組みがオープンソース現象なのである。この一連の現象をシリコンバレー在住の村山氏は、『背筋をゾクゾクさせるような興奮を味わってしまった。(中略)創造の結果だけでなく過程を共有することによって参加者が互いに触発し合い、これまでに無かったもの、素晴らしいものを作ることができるのだ。
それはまた、無数の凡人が互いに思考を共有し、足りない部分を補い、アイデアの連鎖反応を起こすことにより、より大きなインパクトを文明に与えることを可能にするのである。これまた大げさな言い方をすれば、より多くの人に、「自分の生きた証」「自分のいなくなった後に残るモノ」を残す道を開いた、と言っても良いかもしれない。(中略)コレラ治療のプロジェクトに参加した人々も、自分の貢献したアイデアが大勢の命を救う製品に、まるでジグゾーパズルが少しずつ出来上がるようにはまり込んでいく感覚を味わったはずである。この現象はオープンソース現象が個にもたらす興奮を実に鮮やかに描いている。
要約すると、新しい組織とは「好きで楽しい」という理由で、思いを共有する仲間が自発的に集まって「知」を共有し、新しい価値を創造していける。ということ。
そして、中央集権的組織やリーダーがいなくても課題解決が可能な仕組みが構築されていること。つまり社長が要らない組織。こんな感じの組織って素晴らしいと思いませんか?
私は現在、ビジネスの世界、利益追求の世界にどっぷりはまっています。収益を上げ、社員や株主に還元していくことも大きなミッションです。コストパフォーマンスの追及、経営資源の適正配分を常に意識せざるを得ません。もちろん聖人君子でもありません。その状況の中でどう考えれば理想の組織に近づけるのでしょうか?
ひょっとしてウェブの世界でのこの考え方が有用で結果的に個(自分)にも「得」として還元されていくことが証明されていくことにより、リアルな世界、人間関係や組織の中でもまず自分の興味領域や得意分野での「知」をアウトプットし、ある課題解決や夢の実現に愉しみながら貢献していくことが、結果的に自分も「得」になるのだと認識できれば飛躍的に世界が変わっていくのではないでしょうか?
Web進化論を読み、リナックスの開発プロセスの素晴らしさを再認識したときなぜかユングの集合無意識と繋がりました。
集合的無意識(共通意識、共通的潜在意識)とは「すべての人の『意識』は、その奥底で、『集合的無意識』につながっている」つまり私達個人の「意識」の奥底には「個人の潜在意識(無意識)」があり、さらにその奥底では、私達は「人類共有の共通意識(集合的無意識)」につながっているということです。私達は、肉体という一面だけで見ると、一人一人が分離した個体なのですが、心の側面から見ると、すべてに人間は奥底で一つにつながっているというわけです。
つまり、あくまでも仮説ですが、個人の意識でも「今日の昼食はラーメンにしようか、牛丼にしようか」と悩みながら、「やっぱカレーにしよう」とか、「この服今欲しいけど、あと1週間まてばバーゲンセールが始まるのでそれまで待ったほうが得だな」とか悩みながらも自分の納得いく最良の答えをだすように、実は全世界60億の人類(の意識)はひとつであり、総てが繋がっていて最良の答えをだすように出来ている。
そう考えるとウェブの世界で、まずそれがオープンソースという形で現実化し、もうすぐリアルな世界でもネットの世界に追随して、人々はエゴを追求して取り込むことより、「好きで楽しい」を大切に「知」を出すことが結果「得する」という、意識と行動に変わりだすのではないでしょうか。うーん、なんだか頭がこんがらがってきて今回は私も消化不良です。
でも間もなく劇的に世の中が素晴らしい方向に変化していく、個人と組織がどんどん活性化する新しい組織形態が生まれてくる、そんな予感を感じる今日この頃です。
「ホロスプランニングがその先駆けとなろう。」
そんな思いを設立5年目に再認識する未完成経営者をこれからもよろしくお願いいたします!
<参考文献>
・ミュータントメッセージ マルロ・モーガン著 角川書店
・ユング心理学入門 河合隼雄著 培風館
・ウェブ進化論 梅田望夫 ちくま新書
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