昨日は一般社団法人保険乗合代理店協会の定時社員総会でした。
最近はリモート配信とリアル参加を併用した形で運用しており、いつもの定例会ではリアル参加は40人ほどで、ほとんどがリモート参加をされるのですが、今回はなんと約170名の会員がリアルで赤坂の会場に集結しました。
それはなんでかと言いますと。
基調講演に元金融庁長官の遠藤俊英氏をお迎えすることになったからです。
実は招聘する際にお会いしたのですが、失礼ながら経歴だけでなく、とにかく存在そのものが迫力満点の強面系ですので、接する時もかなり緊張しました(え?オマエでも緊張するのかって?たまにはします(笑))。それでも快くお引き受けいただき、いよいよその当日を迎えたわけですが、ワタシも主催者でありながらとても楽しみにしていました。
そして。
そのご講演は期待値を超える内容でした。
講演タイトルは「顧客本位の業務運営/ガバナンス・カルチャーと保険行政」
その内容は多岐に渡り、ここでは詳細は割愛させていただきますが、敢えて少しだけ備忘録として紹介させていただくと。
「顧客本位の業務運営」を考える上でのヒントとして 西成活裕 東大先端科学技術研究センター教授の著書「逆説の法則」を引用され、
・利己と利他は相反する概念だが紙一重。
・経営は少しだけ利己より利他を多くする。
例えば51:49で少しだけ利他が勝つのが商売の鉄則。
・長期だけでなく、同時にバランスよく短期戦略も併せもつ。
・長期をにらみつつ、やはり明日の食事代をかせがなくてはならない。
さらに、もうけだけ追うのではなく、社会的に責任を持つ。つまり、利己と利他の融合を目指す。
・企業経営において、最も重要なことは、「利益」ではなく「永続性」。
・一番参考になるのは「自然」。
・「準最適」、 「そこそこ」の効率性こそ変化に強い。
と。我々代理店経営者は常にこの利己(会社本位)と利他(顧客本位)のバランスの中でどこまでやればいいのかに悩んでいるわけですが、それを「少しだけ利他が勝つのが商売の鉄則」と喝破されたことで、恐らくたくさんの経営者が腑に落ちたのではないでしょうか。
また。
『組織はガバナンスも大事だが、同等にカルチャーの醸成が極めて重要だと。ガバナンスは左脳、カルチャーは右脳、ガバナンスは上から、カルチャーは下から作る』
経営者的には創業以来企業文化醸成のためのカルチャーインベストメントにはかなり意識をしてきたほうなので、こちらの話しは我が意を得たりと嬉しくなりました。
他にも。
金融庁の改革ということで「心理的安全性」の重要性を説かれており、まさに今企業に求められていることを、一般的には超縦型社会であるといわれる省庁組織の中で実行されたことにも感銘を受けました。これから金融庁の方々がワタシたちにも優しく接していただくことを期待しています(笑)
ということで。
元遠藤金融庁長官は現在ではソニーグループのシニアアドバイザーはじめいくつかの企業の顧問をされていますので、機会があればまた講演をお願いしようと画策しています(笑)
ところで。
総会のもう一つのトピックスがあります。
それは。
ワタスが理事長を退任したことです。
退任をブログで発表をしたのは8年ぶり。前回はホロスプランニングの社長を退任した時です。
若気の至り(といっても55歳・・・)とはいえアホ全開です(笑)
保代協(当時乗合保険代理店協議会)は2007年に任意団体として発足しました。発起人の1人だったワタシは当初は副理事長。それが1年足らずでなぜか理事長に任じられました。
それからこの団体は社団法人となり、その後協議会から協会に名称変更し、早や15年が経過しました。当時は保険業界に圧力団体ができたと揶揄されたりもしましたが、意外にも?業界の健全化を旗印にまともな活動を続け、金融庁や生保協会にもそれなりの評価を受けるようになりました(多分・・・)
その間乗合代理店の勃興期から急成長を経て現在の変革期に至るまでの14年間理事長職をボランティアで務めさせていただきました。保険業法改正前の金融庁ワーキンググループへの参考人招致や委託型募集人の適正化においても金融庁と喧々諤々の交渉を行ったりもしましたし、金融庁とのコラボセミナーで全国行脚をしたりと語りあかせばキリがありませんが、要はそろそろこのポジションを明け渡し、若き力に託して更なる発展をしてもらおうという意図での退任です。
もちろん。
理事長のまま死亡するリスクも無いわけではなかったものですから、このタイミングでバトンタッチするのがグッドタイミングだと思ったわけですよ。後任の水野理事長もさすがにワタスの死期迫る鬼気迫る申し出に快く?引き受けていただきました(笑)
と言っても。
完全に保代協から足を洗うわけではなく。
「名誉理事長」という肩書であと2年は席を置かせていただきます(あんまり変わらんのではという危惧も・・・)
どんな名経営者でもいずれ退任する日が来ます。
特に一代で築き上げた創業経営者が組織を去ることにはそれなりの勇気が必要です。
まだまだ自分は衰えていない。まだまだ若いものには負けない。俺がいなければ会社は成り立たない。というような思いが強いのが創業経営者の特徴ですし、自分が辞めると言わない限り誰も辞めろとは言えないのがオーナー経営者です(笑)
どうしても今のポジションに執着してしまうものなんですよね(もちろんワタシにもその感情があります)
でもその執着を解き放って明け渡さないと組織は新陳代謝することなく高齢化に向かい、成長スピードが鈍化し、何より自分自身の心の平安が訪れるということは一生無いのではないでしょうか。
ワタシとはレベルが天と地ほど違いますが、ファーストリテイリングの柳井社長や日本電産の永守社長のようにそれなりの高齢になられてもガンガン経営の舵取りをされている辣腕経営者は常人の域を超えているとは思いますが、一般的には自社の株価や業績という数字を上げるために潜在意識の中に怒りや不安をマグマのように溜めながら、そのエネルギーでブルトーザーのように働いている経営者が多いのではないでしょうか(今時の若者起業家はその限りではないかも)。
すべての肩書や立場をきれいさっぱり明け渡した時に自分自身の存在価値を認識できるような気もしますし、その後に未だ体験したことの無い至高体験が待っているような気もします。
いずれにせよ。
まだ他にも背負っている肩書や立場が結構ありますので、徐々に重たい鎧兜を脱ぎ捨てながら鳥のように羽ばたきたいと思います(え?それって死んでるんと違うんか・・・)
今までご支援ご協力ありがとうございました。
ここまで理事長職を務められましたのも、理事の皆さんや会員の皆さま、他の業界団体の皆さま始め沢山の方々に助けていただいたお陰です。
一旦理事長を退任しましたが、引き続き名誉理事長という立ち位置で理事職を継続し、現水野理事長をサポートしていく所存ですので何卒よろしくお願いいたします。
不名誉理事長にならないようにがんばります(笑)
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