監督指針の改正と業務品質基準の統一化。果たしてこれで乗合代理店の健全化は加速化できるのか。
監督指針の改正と業務品質基準の統一化。果たしてこれで乗合代理店の健全化は加速化できるのか。

保険業界で前例のない一大イベント

2021年も2週間を切りましたね。12月も後半になると平常月とは違う慌ただしさを感じざるを得ないのはワタシだけでしょうか。皆さんはどんな年末を過ごそうとされていますか?

ところで。

今週13日は保代協主催のチャリティゴルフ企業対抗戦を開催しました。コロナの影響により2回の延期を余儀なくされていたものがようやく実現し、会員である大手保険会社含め全国の乗合代理店43社総勢156名が参加する一大イベントでした。

もちろんワタスもプロゴルファー猿に負けないくらいの猿顔ですから参加したのは言うまでもありません。え?それでスコアはどうだったのかって?

いや~中々楽しかったですよ~。カート無しで2万歩以上歩きましたしね~。スコアなんて小さいこと気にしちゃダメですよ~(泣)

なお表彰は年明けの定例会で、参加者からいただいた寄付金は改めて医療従事者に寄付をする予定です。

振り返れば。

任意団体として乗合保険代理店協議会を発足したのが14年前。乗合代理店という新しい業態が急成長しだした頃でした。設立した当初はその急成長した広域型の大手乗合代理店の経営者が結集して圧力団体を結成したのかと訝しがられましたが、地道な業界健全化に向けた活動が徐々に評価され、一般社団法人化、更に団体名を協議会から保険乗合代理店協会に変更し現在に至ります。

今回のチャリティゴルフ企業対抗戦に保険会社の社長や役員の方々までがその主旨に賛同して参加いただいたことは、当時のヤンチャな創業経営者たち(ワタスもその中心人物・・)が寄り集まって創った団体の頃とは隔世の感があり、13年間理事長を務めてきたワタシ的にはとても感慨深いイベントでした。

そんなこんなで業界では一定の認知度を得てきた保代協ではありますが。

肝心の乗合保険代理店はその間健全化に向かってきたのでしょうか。

乗合保険代理店は健全化を加速できるか

自身も20年以上代理店経営をしてきて思うのは、もちろん創業当時と比べれば格段に健全化してきたと言いきれます。

でもしかし。

乗合代理店の認知度が高まり、社会的な影響力を持ち出したこの業態全体を見るとまだまだ改善する余地が有り有りだというのが国や業界の見立てです。以前にもこのブログで書いていますが、来年には2つの「健全化」への動きが始まります。

1つは「保険会社向けの総合的な監督指針の改正」です。これは乗合代理店だけではなく保険募集人すべての話しですが、

「公的保険を補完する民間保険の趣旨に鑑み、保険募集人等が公的保険制度について適切に理解をし、そのうえで、顧客に対して、公的保険制度等に関する適切な情報提供を行うことによって、顧客が自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を理解したうえでその意向に沿って保険契約の締結がなされることが図られているかという点などを監督上の着眼点として明確化する」

というもの。具体的にはそのための募集人教育を施したり、意向把握・確認の中で公的保険の説明を行っているのかが検査としてチェックを受けることになるというものです。

この背景にあるのは。

「国の年金制度なんて当てにならないので自助努力で資産形成しておいたほうがいいですよ。」

と国の公的保険制度を批判して、いわゆる煽り営業をしている募集人が散見しているとのことで、本来の民間保険の意義を再認識せよということだと思料します(多分・・・)

参考(東洋経済オンライン)→https://premium.toyokeizai.net/articles/-/28799?utm_campaign=EDtkprem_2111&utm_content=468558&utm_medium=article&utm_source=edTKO#contd

そしてもう1つは。

生命保険協会が主導している「代理店業務品質のあり方等に関するスタディーグループ」です。これは保険会社によってバラついている品質基準を統一化すべく、あるべき乗合保険代理店の業務品質を策定し(210項目)、審査をしたうえで合格した代理店は協会ホームーページで公表するという、イメージとしては保険業界のミシュランガイド的な取り組みです。

参考(生保協会HP)→https://www.seiho.or.jp/data/billboard/agencyqualitysg/

この背景にあるのは。

「複数の保険会社商品を扱う乗合代理店は、顧客の意向よりも手数料の高い商品を販売しているのではないか。」

という疑念です。それを受け、以前は保険会社も自社商品の売り上げを拡大するためにインセンティブ報酬を代理店に出していたものを、顧客本位の業務運営の観点からインセンティブ制度は廃止され、その代わりに?品質基準という項目を代理店に対して設定し、品質が高ければ手数料を上乗せするという形に変遷してきたのです。

ただ、その品質基準そのものが保険会社によりバラついており、本当に顧客本位をベースに設定された品質なのかという内容も散見され、ここらで一度「本来の業務品質とは何か」を業界全体で考え、あるべき業務品質基準を策定する運びとなったのです。詳しくはこちらも参考に↓

代理店業務品質のあり方。保険業界のミシュランガイドは実現するか。

そして問題は、果たしてこの取組により顧客が保険相談をしたいと思ったときに信頼の証としてその代理店を選んでくれるのか、ということです。

恐らく。

これが導入されたら、たちまちその評価基準をクリアした代理店に相談が集中することはないでしょう。

でもしかし。

だったら「敢えてそこに積極的に取り組む必要もないか・・」

なんて考える代理店経営者が多くては業界健全化の加速化は望めません。

ワタシが思う現状の課題

ワタシが思う現状の課題は。

ちゃんとしているところとしていないところとしているように見せているところが極めて曖昧なところです。

要するに。

態勢整備をちゃんとしている代理店とちゃんとしていない代理店とちゃんとしているように見せている代理店との差が業績(顧客からの評価)に反映せず、むしろちゃんとしていない代理店の方が管理コストを抑えられている分業績が高かったりするということなんですよね。

特にフルコミ系の訪問型代理店は募集人への還元率を高めることを差別化戦略として、募集人をたくさん集めることで組織を大きくしてきました。そのためには薄利経営を余技なくされて結果充分な態勢整備をしない状態で運営している代理店がまだまだ多いのが現状です。

その考え方や構造を変えていくことが業界の健全化を加速できるかどうかの試金石ではないかと思うのですよ。そこで差別化するんじゃないということです。

そのためには。

顧客が代理店や募集人に対して厳しい目を向ける状況を作り出すことが理想です。

顧客自身が「顧客対応」「アフターフォロー」「個人情報保護」「ガバナンス」がしっかりしているかどうかを見極めて加入するようにならないと中々代理店(経営者)が変わろうとしないのではないでしょうか。これからはそのための顧客に対する啓蒙活動も必要になるでしょう。

もう一つの理想は。

顧客が変わらなくても、代理店(経営者)自らが健全な業界にしていこう、そのためにはまずは自社を健全化しようと心を改めて(笑)行動に移すことです。

もちろん今でもちゃんとやっている募集人、代理店はあります。ですが、やっている所とやっていない所との差があまりにも大きく、その状態が野放し?になっていたのがこの業界の一番の課題ではないでしょうか。

ワタシが思う現状の解決策

なぜ敢えてそうしていかないといけないのかという動機付けはできるのでしょうか。

あくまで個人的見解として適当に無責任にアイデアベースでざっくばらんに羅列すると・・・

・今回の業務品質基準を全保険会社が品質手数料基準として採り入れる

・代理店への募集手数料は品質手数料への配分を大きくする(基準手数料との比率をドラスティックに変える)

これはかなり強制力を及ぼす策ですね・・

代理店サイドの自主的な取り組みとしては、

・SDGsのように地球環境保護のためにコストをかけてでも取り組もうというような高邁な理念を掲げる(具体的理念無し・・)

・金融業、保険業に携わる者として職業倫理に火をつけるメッセージを掲げる(具体的メッセージ無し・・)

・早く顧客からの評価が実績に反映するように、保険業界全体や代理店自体が生保協会のHP公表のみに頼らずに、世間や既存顧客に業務品質基準の重要性を積極的にアピールする

(まー今回はこんなもんで堪忍しといたってください・・)

最後に

銀行・証券・保険という金融分野の中で保険営業だけは最も社会的な地位が低く見られてきました。でも世帯加入率は依然高く、保険の必要性は国民に十分浸透していますし、保険商品は万一の時に極めて顧客貢献ができる他の金融商品にはない機能を持っています。

もっともっとこの業界は社会から認めてもらってもいい業界のはずです。そのためにもこの業界を健全化し、家族にも次の世代にも誇れて、憧れられる人の集団であり組織であるべきです。

この2つの課題をクリアした先に業界の未来があります。

そのためにも、募集人一人一人が、代理店1社1社が、その自覚を持って前向きに取り組んでいこうではありませんか(オーッ!)

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