「いや、実は今病院からなんです。多分僕はもう永くない・・・」
「えっ、と、とにかくすぐにそちらに向かいます。今どちらの病院ですか?」
広沢氏の病名は「急性骨髄性白血病」いわゆる血液のガン。年齢35歳、奥さんと小さな子供が2人いた。助かる可能性20%。
「大丈夫ですよ。なんとかなります。あきらめずに気持ちをしっかり持ってくださいね。」
ふさぎ込む広沢氏に圭太は何の根拠もないはげましをするのがやっとだった。
「それと、お金のことは心配しないで下さい。入院給付金の支払い手続きはこちらできちんとさせていただきますから。」
「恐れ入ります・・」
圭太ができる最低限のサポートだった。
その後広沢氏の闘病生活は長引き、圭太は職場復帰を果たすことを念じながら、ビジネス書や講演テープを送りながらその回復を祈った。
数ヵ月後、広沢氏は骨髄移植も無事成功し、自宅療養に入り、職場復帰も間もなくできるところまで来ていた。
「よかったですね。広沢さん。本当に良く頑張られましたよね。」
「おかげさまで。ベッドの中で色々考えていたプランをやっと実行できます。」
「お気持ちはわかりますが、あせらずゆっくりやりましょう。」
「本当に朝倉さんには感謝してます。入院中も随分励まされましたし、なにより入院中のお金は本当に助かりましたからね。最初朝倉さんがこられた時は保険の話を聞くことにもためらいがありましたけど、今となっては保険のありがたみがわかりましたよ!」
圭太は始めての「支払い」という行為を体験し、この仕事の意義を感じていた。
だが。
それから数カ月後、そろそろ広沢氏も職場復帰されているかと思っていた矢先、奥様より電話が入った。
「朝倉さんですか?今朝主人が亡くなりました。急に容態が悪化して・・・明日がお通夜なんです・・・」
精神的にも経済的にも不安感に直面している遺されたご遺族への対面。
圭太にとって初めての死亡保険金支払い。
実はこのお客様は保険契約から1年経過せずに給付金支払いが発生したことで、保険会社から調査が入り(告知義務違反の疑い)、給付金支払いが大幅に遅れた案件だった。その時は奥様から、
「私は主人がパシフィック生命に保険を変えると言われた時反対したんですよ。こんなことになるなら変えなければ良かったです!」
と猛抗議をされてしまい、ただ謝るしかなかった記憶が未だ鮮明に残っていた。
「自分は、新米だった頃、まだまだ仕事に対して不安で一杯だった頃にご契約をいただいたお客様に対して、そのご遺族に対してどれだけ貢献できるんだろうか。」
自問自答してみた。
「出来る限りの恩返しがしたい。ご遺族の不安を少しでも緩和したい。」圭太は素直な気持ちが湧き出てて来るのを感じていた。
以前叱られた奥様と対面することに少し戸惑いはあったものの、重要な納品(保険金支払い)の局面だけに丁寧に丁寧に保険金支払いのご説明をした。ご加入時にライフプランをさせていただき、必要保証額を算出し、その必要保証額に沿った保障提案をしたものであること。その結果それまでに他社で加入されていた定期保険特約付き終身保険より、かなり大きい保険金支払いができること。それ以外にも社会保険の手続きや今後のライフプランの相談など出来る限りのサポートをし、奥様からも信頼も得ることができ、奥様自身の保険契約もいただくことができた。
「色々助けていただいてありがとうございました。主人が入ってくれていた保険のお陰で暫くはお金の心配をせずに暮らしていけます。朝倉さんから契約していてよかったです。これからも私たちのこと宜しくお願いしますね。」
仕事には収入よりも大事なものがある。
この奥様からの言葉は、社会人になって始めて仕事に対する「使命感」を味わった瞬間だった。
「すいません社長。魅力的なお誘いですが、僕はこの仕事、保険屋という仕事に誇りを持ってます。今はずっとこの仕事を続けたいと思ってます。この仕事を通して今後ともお付き合いを続けさせていただけますか?」
その後、圭太は幾人かのキーマンからの転職の誘いを丁寧に断った。
ー続く―
心理学者のユングは人間が幸せになる5つの条件として、以下の5項目をあげています。
1.心身ともに健康である
2.ほどほどの豊かさ
3.真・善・美を味合う能力
4.使命感のある仕事
5.よい人間関係
幸せのためには「使命感ある仕事」を持つことが如何に大切かがわかりますね。
その為にはなんと言っても「仕事のプロ」になることです。
そして使命感ある仕事とは、捜し求めるものではなく今あなたがやっておられる仕事をどう受け止めるかではないでしょうか。
そもそも使命感のない仕事なんて存在しないはずです。
目の前の仕事を本気でやり続けていくことで使命に目覚めることがあるのです。
「使命」とはまさに「使われる命」のこと。
きっと何者かが「あなたはこの為に天から授かった大切な命を使うんですよ」といわれているのでしょうね。
*上記コンテンツは2009年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています
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