実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)」     第八章 順風満帆。ビジネスは企画からはじまる
実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)」     第八章 順風満帆。ビジネスは企画からはじまる

第八章 順風満帆。ビジネスは企画からはじまる

 

「社名は株式会社ホール(whole)コンサルティングと言います。Wholeの意味は完全とか全体、MDRTで目指すところのWhole-Person(全人的)のWholeです。つまり保険提案をするには、学資とか老後とかライフイベントの1部ではなく、顧客の人生全体を理解する必要があり、更にその顧客の人生そのものを引き受けるに足るWhole-Personを目指すことで信頼され、選ばれるプランナーとなる。そんな集団ばかりの組織を創りたい。そんな想いを社名に託しました。」

 

創り上げたビジネスモデルはフランチャイズモデルに近かった。

 

脱サラしてコンビニを始めようとするときに、自分で看板を上げて、品揃えもシステムも全てオリジナルで始める人など今では存在しない。保険代理店として独立する時もいずれそうなると予測した。もはや代理店も単独で始める時代ではなく、コンビニのようにフランチャイズに所属して、品揃えからシステムから教育まですべてはフランチャイザーの指導の下に開業するということだ。独立して1年間お世話になった東京のマーケティング会社の親会社はレンタルビデオショップのフランチャイザーだったことも大いに学びに繋がっていた。

 

ただ圭太はそれをお店ではなくファイナンシャルプランナーという「ヒト」に置き換えたのだ。

 

そして保険業法下で抵触しない「委託型」というスタイルで運営することでそのモデルを実現させていた(当時はまだ認められていた)。アントレプレナー(独立起業家)を束ねてサポートする組織。まだそのモデルで全国展開している代理店はほとんど存在しなかったからだ。ただ競合はほぼ時期を同じくして出来つつあった。このモデルは基本規模拡大モデルである。人を集めるために何を魅力に我が組織へ引き入れるのか。お金、つまり完全歩合制の手取り(どれだけ還元してもらえるか)の多寡を魅力にするのか、商品の品揃え(乗合数の多さ)なのか、そこに集うヒトの質なのか、はたまたそれ以外の付加価値なのか。

 

圭太の訴求ポイントはお金ではなかった。もちろんお金(手取り)は大切な要素だけれど、敢えてそこにフォーカスするのではなく、むしろ理念やビジョン、どんな組織を作りたいか、保険ビジネスに留まらず保険ビジネスや保険営業マンの未来に向けた可能性についてを資料にしたため、それを熱く語った。ビジネスの仕組みをどう作るかも大事だけれどそのシステムにどんな魂を入れるかがそれよりはるかに大事で、それを伝え共感してもらえる人で組織を作りたかったのだ。

 

ビジネスモデルはある意味「企画力」がものを言う。何も考えずに勢いで初めて成功するケースは極めて稀なのではないだろうか。もちろんヒトも重要なリソース(資源)ではあるけれど、理念やビジョンを共有したヒトタチが更にスタートアップする前に練る企画とその企画を実走させる行動力が成功するかどうかの可否を決める。しかし理念やビジョンの刷り合わせ方が甘いと、最初は順調でも徐々に溝が生まれ出し、やがて崩壊することになることをまだ圭太はこの時は知る由もなかった。

 

圭太が起こした会社、ホールコンサルティングは当初目標通り、その想いに共感してくれた仲間が20人になり想定通りに収益も赤字基調から脱却した。業界では1年で「ドリームチーム」が結成されたと評判となり、保険会社からの乗合依頼が相次ぎ、講演やスピーチのオファーも増えてきた。

 

当時の講演で圭太は 「朝倉的代理店経営7つのツボ」 として語っていたことは、

 

1.喜んで捨てる。

2.うちの社長は貧乏が売り。

3.情報開示の徹底。

4.ホールは異能人があつまる不完全な組織。

5.うちのプランナーは最重要顧客。

6.社内コミュニケーションもHPC(聴く、提案する、約束する)

7.頑張らない。努力しない。必死にならない。

(楽しみながら生産性を上げる組織を目指す)

 

これを実践したからかどうかはわからないが圭太のスタートアップは上出来といえよう。

 

ビジネススタートアップの原則をヨットレースに例えるなら、風が吹いている方向を見定めてそこに向かって船を走らせること。

 

まさにホール丸は順風満帆だった。

 

「このまま、この勢いで、まず今期は50人、来期は100人、3年後には300人も夢じゃない。一気に全国展開に踏み出そう!」

 

圭太は順調な事業の滑り出しに、調子に乗っていた。そしてその勢いで主力保険会社の年間売り上げで全国トップに躍り出ることになる。

 

そして。

 

創業前から計画していた、教育研修事業への参入、顧客管理システムの開発、ホールクラブという顧客の会員化とクレジットカードの発行、自家共済制度の組成を同時並行で準備を進めていた。

 

この無謀ともいえる「独りよがりの企画」が後々大事件に繋がることになる。

 

―続く―

 

コラム:企画とは何か

 

「企画とは大好きな人に贈るバースディプレゼントのようなもの」

 

これは私がリスペクトする脚本家であり、将来設計士のブランディングをお願いしたくまモン生みの親として有名なオレンジ&パートナーズの代表小山薫堂さんの言葉です。

 

また、かつてお世話になった世界一の企画会社を標榜されている、TSUTAYA、Tポイントを運営するCCC(カルチャー・コンビニエン・スクラブ)の創業者増田宗昭さんは。

 

「これからのビジネスパーソンはお客さまのために何ができるかを主体的に考えてビジネスを創造できる企画人でなくてはなりません。その企画というのは心から生まれるもので頭からは生まれるものではありません。人を大事にするのは心です。企画は心から生まれるのです。心根の良い人間こそ、世界一の企画人間になれるのです。」

 

と常々メディアで語られています。

 

どちらもシンプルでとてもわかりやすいメッセージだと思いませんか?

 

大好きな人との初デート。リードする男性は、どうすれば彼女が喜んでくれるかを必死で考えます。食事するレストラン、オーダーするワイン、ドライブコース、観る映画等々・・そしてその企画がヒットするかどうかは企画そのものでもあり、その企画を立てたヒト、実行したヒトそのものでもあります。

 

イベントやビジネスの企画も同じですね。企画の内容もさることながら、誰がその企画を立て、誰が実行するのか。それをすべて包含して企画は評価されます。企画の原点はその相手(一人でも大勢でも)にいかに喜んでもらうか、いかに感動してもらうかにあります。

 

そしてその企画をする上で最も重要な要素は、まずは「相手のニード」を理解することでしょう。

 

デートの話しに戻りますが、初デートの彼女に喜んでもらえるかどうかは、まず彼女の好みや価値観を知ることから始まります。いくら高級なお寿司屋さんに連れて行っても、その彼女が「生もの」が嫌いなら台無しなのです。企画はもちろん発想力も大事ですが、その前にいかに相手のことを深く理解するか、更にその前にどれだけ相手を好きになることができるかではないでしょうか。

 

*上記コンテンツは2017年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています

 

 

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