1992年4月、圭太はMDRT(ミリオンダラーラウンドテーブル)の会場にいた。MDRTとは全世界の保険営業パーソンのトップ6パーセントからなる相互研鑽と社会貢献を主旨とした組織で、その昔100万ドル以上の報酬を得た成功者達が円卓を囲んで会議を行ったことが始まりである。保険業界ではこのMDRTメンバーの称号を得ることが大きなステータスだった。
圭太は1年間ガムシャラに突っ走り、その基準をクリアしていた。しかし、周りからはその実績は評価もされ、注目もされていたが圭太の心境は複雑だった。なんとか必死でここまで来たけど、この先どんな展開していったらええのやろ・・・ベースマーケットもほとんど行き尽くしたし、飛込みだけでは不安でしゃーない(仕方ない)し。
圭太はこの優秀なMDRTメンバーの会合で何かヒントが得られることを期待し、いやなんとしても何かを掴んで帰るつもりだった。 会合の内容は大きく分けて二つ。トップ営業パーソンによるパネルディスカッションとバズセッションなるグループディスカッションだ。
そして今回のテーマは「紹介入手の神様からその極意を学ぶ」。3名のプランナーが司会者からの質問に答えていく形式である。まず司会者から3名が紹介された。それぞれに素晴らしい経歴だ。
一人目は通称「ハガキの神様」。
二人目は通称「歩く約款」。
そして三人目は「泣き落としの神様」。
圭太は興味津々で3名の発言に聞き入った。
ハガキの神様曰く「お客様に感動を与え続けるのが私の人生のテーマです。結果は必ず後からついてきますよ。そのために真心を込めて手書きのハガキを毎日平均50枚、一人のお客様に対してお会いするまでにお礼状、お会いしてからもう1通、ご契約時にもお礼状とご契約までに都合3通、ご契約後は毎月と誕生日、既婚者には結婚記念日にもお出ししてます。あ、それと私が聞いて感動した講演会やセミナーのテープもダビングしてお渡ししています。これが毎月100本くらいですかね。お陰さまで今では紹介者だけで訪問しきれないくらいになりました。もちろん紹介をいただくのは嬉しいですが、感動したよって言われるのが何よりの喜びです。イヤー仕事ってほんと愉しいですよね。」
歩く約款曰く「約款の内容はほぼ記憶していますので内容について質問されたことは即答できるようにしています。やはり我々は保険でご飯を食べさせていただいてる訳ですからプロとしては当然でしょう。今は保険にとどまらずCFPの資格も取り、金融全般の知識も習得しましたので、お客様は保険や金融知識でお困りのことがあればまずは私に電話しようと思っていただいてるようです。やはり本業で信頼を得るのが王道ではないでしょうか。私は一人でも多くの人を間違った保険加入から救いたいと真剣に思ってます。」
泣き落としの神様曰く「僕はこの仕事を生涯まっとうする覚悟です。そしてお客様をサポートし続ける。それがこの仕事を志した者の使命でしょ!今までの保険会社じゃなく当社は生涯担当ですってお客様に言ってるしね。そのためにはなんとしてでも保険を売り続けなければならない。でなければ生きていけないんですからね。だから僕は紹介をお願いし続けるんです。皆それを聞いて泣き落としって言うけどね。でも僕はなんと言われても言い続けますよ。いつでもどこでも何度でもね。伝わりますよ、お客様には。命掛ければ成功できない仕事なんかないでしょ、違います?」
それぞれにそれぞれの1本通った考え方があり、圭太はこの個性的なパネラー達の出番が終わったとき思わず敬意を表し立ち上がって拍手をしていた。気がつくと全員がスタンディングオベーションで応えていた。圭太は久々の感動を味わっていた。 その日の夜、ホテルの一室で圭太は今日の神様たちの発表を思い出し、自分なりに整理してノートに書いてみた。
1、この仕事を続けるための考え方―契約をいただくだけでは50点。紹介をいただいて初めて100点と心得よ。契約100点と思えば「死」あるのみ!
2、ハガキの神様はサプライズ企画の達人。常にお客様の期待値を超えることが感動に繋がる。そのためには誠意に基づくマメさが不可欠。仕事を愉しめ!
3、歩く約款は信頼の証。プロとしての自覚が努力に繋がり、努力が知識と資格をもたらす。結果、正確でスピーディな対応が信頼の連鎖を生んでいく。オンリー1の付加価値を創れ!
4、泣き落とすのは覚悟、意志の表出。お前にお客さまを生涯サポートする覚悟があるか? この仕事を生涯まっとうする覚悟があるか?あれば言えるだろ?紹介してくださいって言えるだろ?そろそろ覚悟したらどうだ圭太!
5、紹介の目的は個客貢献。仕事への誇り。使命感。喜び。方法はプランナー百人いれば百通り。即ち紹介は技術ではなく心だ!
結論―学ぶはまねぶ。
明日から実践あるのみ!
この日のメモは圭太の生涯のバイブルになった。
MDRTは実績の証明、CFPは知識の証明。もちろんこれらを取得することだけが成功の証ではありません。
しかし、お客様や仕事に対する前向きな行動の結果とは言えそうです。
MDRT会員に入会するためには極端に言えば知識、資格は必要ありません。実績がすべてと言っても良いでしょう。
CFP資格を取得するためには資格試験に合格するための知識が必要ですが、実績は必要ありません。
顧客本位を前提にするならば、CFP資格を取得した上で、MDRT入会基準を達成するのが理想と言えそうです。
保険営業を生涯の仕事として、長く顧客との信頼関係を構築し、保険契約をいただき続けるのなら、両方の資格をクリアし続ける覚悟が必要なのかもしれませんね。
1927年に発足したMillion Dollar Round Table(MDRT)は、卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの組織です。世界中の生命保険および金融サービスの専門家が所属するグローバルな独立した組織として、700社以上、80カ国以上の会員が活躍しています。MDRT会員は、卓越した専門知識、厳格な倫理的行動、優れた顧客サービスを提供しています。また、生命保険および金融サービス事業における最高水準として世界中で認知されています。
CFP(CirtifiedFinancialPlanner)とは?1972年に米国で創設されたファイナンシャル・プランナーのライセンスで、ファイナンシャル・プランニングの各分野に関する高度な教育を受け、かつCFP BOARDが実施する厳しい資格審査試験に合格した者に授与される権威のある資格です。 ファイナンシャル・プランニングの先進国である米国でこのCFP資格は、最も代表的で信頼されるファイナンシャル・プランナーのライセンスとして国民に認知され、高い評価を得るとともに、公認会計士や弁護士と同様にプロフェッショナルな職業的資格として確立され、 2023年1月現在で、世界で25の国と地域においてCFP資格が導入されています。2023年1月時点の日本国内のCFP資格登録者数が約23,000人。
*上記コンテンツは2009年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています。
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