実録風!ザ・購買エージェントへの道(転職編)第二章「初めての営業」
実録風!ザ・購買エージェントへの道(転職編)第二章「初めての営業」

第二章 初めての営業 

 

1991年2月1日、圭太はパシフィック生命の入社研修に参加するため東京にいた。

 

その当時パシフィック生命ではライフナビゲーター(保険募集人の称号)の条件を大卒男子に限定し、更に社会経験10年以上の営業出身者(圭太は営業経験者ではなかったが特認で合格)、おまけに一般募集は一切せず保険営業経験者も採用しない、という厳格な基準を設けていたのだが、それだけに保険業界で成功することがかなり難しい世界ということが推測された。そして毎月その基準をクリアした者が途中入社者として研修に望んでいた。

 

その年の2月は全国から24名がリクルートされており圭太はその中で最年少だった。

 

「なんかみんなやり手そうな人ばっかりやなー・・・」

 

32歳ながら最年少で営業経験もない圭太は自分が場違いなところに来たようで少し不安感を覚えたが、「今さら引き返す訳にもいかんし、まぁなんとかなるやろ。」と生来の楽観主義からか意外と開き直りも早かった。

 

本社研修の目的は大別して3つだった。

 

1.ライフナビゲーターシップの醸成(生命保険販売の意義と金融機関の一員としての自覚を促す)

2.アントレプレナーシップの醸成(独立起業家としての心構えと報酬システムを理解する)

3.同期意識の醸成(仲間意識による情報交換の促進と競争意識による個々の生産性の向上をはかる)

 

圭太の関心はアントレプレナーシップ(起業家精神)のセクションだった。なにしろ転職の目的は自己の可能性の追求であり、短絡的な表現をすると収入を上げることだったので当然といえば当然である。これからは固定給のないフルコミ(完全歩合制)の営業パーソンとして自分の収入は自分で決めていくのだと思うと少し身震いがした。

 

研修講師が、「成功するためには目標を明確に持つことです。そしてそれを具現化するためにはまず紙に書くことです。皆さんの夢を夢で終わらせないように今から報酬計画を作成していただきます。」と冒頭で目的を述べ、作成が始まった。

 

自分のライフイベント表を作成し、いつまでに何がしたいか(支出)を記入していく。年齢の経過と共に子供の教育費など必ず発生する支出と今までできなかった「夢」をすべて散りばめていくとなんと生涯支出は6億5千万ほどになった。60歳まで仕事をすると仮定すると年収にして平均約3千万だ。

 

出来上がった自分のライフイベント表を眺めながら圭太は、 「えらいごっつい(大きい)数字やなー。やりたいことや欲しいもん買おと思えばこんな稼がんとあかんのか。こんなんできるやろか・・まぁどうせ営業経験もないし、歳も同期で一番若いし、あんまり格好つけんと回りで凄そうな奴の真似でもするしかないかな・・」と全く実感が湧かないまま意外にも素直な感情が湧き出てくる自分を感じていた。

 

夜には懇親会があり、その場には研修生以外に講師や各地の支社長が数人ゲストとして参加していた。1時間ほど経つとみんな酒の勢いも手伝ってか、当り構わず将来の夢を語りだす者や不安をかき消すように講師や支社長に質問を浴びせたおす者で場は騒然となっていた。と、その中のひと際身体の大きい、見るからに豪傑然とした支社長が圭太の隣に座り話しかけてきた。

 

「朝倉君は若そうだねぇー。いくつなの?」

「はっ、32歳です。」

「今日の研修で何が為になった?」

「はぁ、報酬計画を立てて自分の目標が見えたことですかね。」

「そうか、じゃあ目標が見えたらあとはやるだけだね。」

「は、はい。」

「で、できそう?」

「さぁ、それはやって見ないと分かりませんがやるしかないと思ってます。」

「ここに来る奴はみんなそう思ってるんだ。でも実際本当にできるのはその中の10%もいないんだよ。なぜだかわかる?」

「えつ、そうなんですか?(な、なんか話が違うような気が・・確か平均年収1500万じゃあ・・)わ、わかりません。」

「みんな保険が売りたくてここに来たんじゃないだろ?保険は自分が成功するための手段だと思ってる。違うかい?」

「・・・・・」

「僕は学生の頃から空手をやってきた。もちろん強くなることが目的でね。でもやっていくうちに空手は強くなるための手段だけでなく空手道という人間を磨く”道”というものがあることに気づいたんだ。その道の大切さに気づいてからだよ、僕が強くなって全国大会に優勝したのは。朝倉君、職業も極めれば道になる。保険にも”保険道”というのがあるんだよ。それに早く気づいたものが成功するんだ。最低3年、できれば10年続けようと覚悟するんだね。」

「はぁ、保険道ですか・・で、じゅっ、10年ね・・」

 

圭太は確かにこの保険販売という職業にまだ思い入れがない中で長く続けていく覚悟も自信もなかったせいか少しドキッとはしたものの、飲めない酒で酔いが回っていたせいもあり、その支社長が語った意味を深く理解できないまま生返事をするのが関の山だった。そして「保険道」という意味を理解するのにまだしばらくの時間を要することになる。(その後圭太は結果的にパシフィック生命に10年在籍し、振り返るとその間の平均報酬はこの時の計画通りとなったのだが)

 

3日間の本社研修の後、配属先の支社での研修は一ヶ月続いた。支社での研修は主に商品知識と営業スキルの習得だった。カリキュラムはかなりハードなものだったが、それだけに充実した毎日を過ごした。

 

そして募集人資格の試験も無事合格し、いよいよ営業に出る日が来た。

 

「もしもし、パシフィック生命の朝倉です。元グローバルスポーツにいた朝倉です。ええ先月退職した・・ちょっと聞いて欲しい話があるのでお会いできませんか?」

 

圭太の試練の幕開けだった。

 

 

続く

 

 

参考コラム

*ビジネスパーソン成功のキーワード「KASHの法則」*

 

プロフェッショナル営業パーソンとは他者(組織や上司)からの指示や命令によって行動するのではなく、自らの目標や意思により行動し、結果を出す人のことである。 彼らが常に心がけている四つのキーワード、それが「K・A・S・H」。

 

[K]Knowledge(知識)―商品知識、業界知識、経済知識など豊富で専門的な知識は顧客にとって「あの人に聞けばなんでも的確に教えてくれる」貴重な存在となるでしょう。あなたに必要な知識は何ですか?自らの付加価値と成り得る知識を書き出してみましょう。

 

[A]Attitude(態度)―成功者には自己目標を常に設定し、チャレンジしている上昇志向型営業パーソンもいれば、その日その日をワクワク愉しく過ごす楽天型営業パーソンもいます。常日頃の意識の持ち方や瞬間瞬間の人との接し方、態度があなたの「人格」を形成しあなたの「らしさ」を醸し出します。あなたへの評価は、あなたの意識や態度、その場の感情の選択で決められていくのです。あなたはいつもどんな態度で、どんな姿勢で仕事に臨み人と接していますか?「謙虚」「感謝」「素直」「必達」「愉快」などあなたの日々の心構えを言葉に表してみましょう。

 

[S]はSkill(技術)―コミニュケーションスキル、ネゴシエーションスキル、コーチングスキルなど様々なスキルアップ(技術向上)への取り組みが生産性の向上に繋がります。その為の具体的なアクションを怠っていませんか?上司、先輩との同行訪問やロールプレイ、研修への参加などで客観的に自身のスキルを見直し、常にブラッシュアップを心がけましょう。営業の達人は何を見ても感動し、素直に取り込む人が多いのです。

 

[H]はHabit(習慣)―朝起きて顔を洗う時、「よーし、今日も顔を洗うぞ!」と意識して洗面所に向かう人はあまりいませんよね。それは物心ついたときから繰り返すことで行動が習慣化しているからです。

 

仕事でも最初は慣れない行為や少しストレスのかかる行為(TELアポや面談数など)も繰り返すことでやがて習慣化されてきます。最初は辛いかもしれませんが、そこは自分との約束(自己管理力)、その先にある自分へのご褒美や顧客からの感謝をイメージして乗り切るしかありませんね。(ヘビースモーカーが禁煙の誓いをするようなもの?)でもその行動が習慣化されたとき力強く安定的な実績があなたにもたらされるはずです。

 

現状維持は退歩。定期的に自身を「KASH」ごとに棚卸し、強み弱みを認識したら次のアクションが見えてくるはずです。すべてを満遍なくというより、自身の「快」を大事にし、愉しく取り組むことも大切ですね。

 

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