考察:プルデンシャル問題を深層心理学から読み解いてみた
考察:プルデンシャル問題を深層心理学から読み解いてみた

1991年2月1日

35年前のこの日僕はソニープルコ生命(現ソニー生命)に入社した。

32歳だった。

約10年のサラリーマン人生に終止符を打ち、完全歩合制の保険営業職で成功して人生を変えたいと思ったからだ。

「え?人生をどう変えたかったんだよ、お前は?」

「一言で言うと収入を上げたかった。安月給のサラリーマンでこのまま定年を迎えた時には、恐らく自分の人生後悔することがイメージできたんだ。だから、営業経験は無かったけれどやらずに後悔するよりもやって駄目ならその時はまた考えようと決めたんです。」

「不安はなかったのか?」

「もちろんありました。まだ若いし営業経験もなかったですから。ただ勝算もありました。セールスレディによるGNP営業中心の業界の中で、PCを駆使しライフプランニングからのオーダーメイド設計を強みとし、それなりの学歴とキャリアを積んだ男(当時は男性のみ)が妻子を抱えて本気で仕事に打ち込めばなんとかいけるのではないだろうかとも思ったのです(恥ずかしながら保険に対する使命感は1mmもありませんでした・・)」

 

入社前研修で今でも心に残っていることは。

 

「ライフプランナーというのは、一人で一つのアントレプルノア、要するに起業家であって自分で自分の価値観を決めて動ける、ただ大きな組織の歯車で動いている仕事とは違うわけです。アントレプルノアとしてライフプランナーを高く評価したい」

という盛田昭夫ファウンダーのメッセージだ。

 

恐らくほぼすべての入社を決意した転職者たちはこの言葉で心が動かされたはずだ。

そして。

ヒッシのパッチで1年走り続けてコンベンションにも入賞できた。

ただ収入を上げたかっただけの若造は間もなく保険営業という仕事にやりがいと使命感を感じるようになった。

契約を積み重ねるごとに手数料収入は上がり、契約をいただいたお客様に感謝の念が芽生える。

ライフプランニングに沿った保険設計書を手書きで作成し提案するとお客様は申込と共に感謝までしてくれた。

そんな感謝の交換ができたお客様から紹介を貰えるようになると保険営業という仕事にやりがいを感じるようになった。

やがて。

お客様の中からご遺族に死亡保険金を支払う経験をすると、この仕事に使命感が芽生えだしたのだ。

その後僕は、所長、支社長と職種変更しながら乗合保険代理店として独立した。

ソニー生命とプルデンシャル生命の歴史的背景

ソニープルデンシャル生命は米国プルデンシャル生命と電気のソニーの合弁会社として1979年に設立され。

従来の保険業界にアントレプレナーシップを持ち込み、ライフプランナーという専門職を通じて合理な生命保険と質の高いサービスを提供することをコンセプトにした。

因みにこのコンセプトは、大蔵省に合弁事業として認可を取得するために考えられたもので、米国プルデンシャル生命のノウハウを日本に導入したわけではない。大手保険会社とは一線を画する営業戦略を謡わなければ認可されなかったからだ(時を同じくして西部オールステート生命は流通業というチャネルに特化した施策で認可され、オマハ生命は通販や代理店チャネルという施策でもって認可を取り付けている)

なので。

プルデンシャル内でバイブルとされているブルーブック(販売マニュアル)はニードセールス(顧客の必要に応じた保険設計)という根幹の哲学は踏襲しつつ、翻訳というより超訳された日本独自のバイブルとして作成されたものだ。

そして。

1987年、プルデンシャル生命が持っていた株式を実質的にソニー側が引継ぎ(一部子会社経由で保持)、ソニープルコ生命が誕生した。当初の哲学や販売手法を踏襲しながら両社は合弁を解消し、独自の道を歩むことを決めたのだ。

つまり。

現在のプルデンシャル生命のルーツは日本のソニープルデンシャル生命であり、米国のプルデンシャル生命ではないということだ。

それから40年近くが経過し、両社は共に日本の保険業界に確固たる地位を確立してきたと言っていいだろう。

その源流は同じなのだ。

ではなぜ。

今般の金銭不祥事がプルデンシャルのみ(かどうかはまだわかりませんが・・)に起こったのかが気になるのだ。

 

プルデンシャル生命の見解

報道によると。

創業理念やライフプランナー制度そのものの欠陥というより、その「制度の運用と管理」において構造的な歪みが生じていたことが主な要因。

としており、

①過度な業績連動型の報酬制度が「金銭への過度な執着」と「収入の不安定さ」を生み、それにより精神的に追い詰められ、不適切行為を誘発した。

②顧客との関係の密室化と未熟化により、会社側が個々の営業活動を把握・管理する体制が不充分であり、顧客との深い信頼関係を築いていたことを悪用し、架空の投資話を持ちかけ、疑いを持たずに被害にあった顧客が生まれた。

と。

僕はプルデンシャル生命に在籍していたわけではないので、ソニー生命との違いを詳細に理解することはできないのだが。

外形的にはソニー生命も業績連動型の報酬体系であり、顧客との信頼関係をベースに保険はもとより人生そのものを伴走するというコンセプトも変わらないような気がしている。

もし違いがあるとすれば。

どこかで創業の理念が薄らいでいったのか。

それとも営業活動を把握・管理する体制が弱かったことが違いなのかもしれない。

 

実は。

しいて言えば。

個人的にはもう一つ気になる違いがある。

 

その違いはオープンかクローズか

創業来プルデンシャル生命は代理店移行を認めてこなかった。

それに対してソニー生命は過去には代理店移行制度があり、契約を持ったままに代理店として独立できる制度があった(今はない)。

ワタシもその代理店移行制度を使って起業したクチだが、乗合代理店で拡大成長させてきた多くの経営者はソニー生命出身者が多いのが実情である。

 

つまり。

 

ソニー生命はオープン型(アントレプレナーを許容する)で。

プルデンシャル生命はクローズ型(外に出さずに組織としても密室化する)

だったのではないかと思うのだ(あくまで個人的推論)

 

ソニー生命は比較的オープンな文化で代理店移行制度(今はプレミア・エージェンシー制度)や代理店チャネルがあり、外に出ることを一定許容しており、盛田ファウンダーが期待したアントレプレナーシップを継承している。

それに対して。

プルデンシャル生命は代理店チャネルは無く、ライフプランナーはライフプランナーとしてのみ商品を販売することしかできない(退職して代理店にでてもプルデンシャル生命の商品は売れない)。

そのため。

できれば会社としては外の情報に触れて欲しくなく、ある種プルデンシャル教を信奉させてその教祖となるべく営業スキルを磨き、商品性より(商品力は強くない)、顧客との信頼関係を重視することで販売実績を上げるライフプランナーを更に崇拝するという文化が醸成されてきたのではないかと思うのだがどうだろうか(あくまで推論です)。

実はこのオープンとクローズの違いが、大量の金銭不祥事を生んだのではないかというのがワタシの仮説なのだ(これも個人的推論・・)。

 

新しい脳と古い脳

「勉強しなさい!」と指示すればするほど子供は勉強しなくなる・・

既にこれは心理学的には証明されています(多分)

 

この脳のメカニズムを解説すると。

このメッセージの裏側にあるのは

「あなたは、勉強しない子だよね」

である。

 

そもそも。

 

脳は大別すると、知能を司る大脳新皮質と動物としての生存には不可欠な古い脳(大脳辺縁系や脳幹)があります。

言語は大脳新皮質で処理されます。

ところが。

「あなたは勉強しない子だよね。」

という裏メッセージを古い脳がキャッチするのです。それも本人も気づかないまま。

実は。

大脳新皮質での解釈は行動に繋がりません。

行動に繋がるのは古い脳のほうなのです。

インプット(指示される)という頭で理解しただけの浅い気づき(外発的気付き)では行動に繋がらず、深い気付き(内発的気付き)が無ければ行動に繋がらないと言いのも心理学の定説ですが。

この深い気付きというのは言語以外のメッセージが古い脳にアタッチするから行動に繋がるということなのです。

つまり。

言語でコミュニケーションしているというのは錯覚で。

人間の行動は古い脳で感じたことが優先されるということです。

あなたは勉強しない子というメッセージを古い脳がキャッチし、子供は否定されたことを察して(無意識に)余計勉強しなくなるのです。

 

「すっぱーい梅干しを想像してください」

 

と言われると、口内に唾が溢れてきますよね。

これは言葉が大脳新皮質で反応したのではなく古い脳が反応したから唾がでるのです。

なぜなら。

 

「すっぱーい梅干しを想像しないでください」

 

と言われても同じように唾がでるからです。

要するに。

人は言葉(大脳新皮質)で反応するのではなく古い脳で反応するのです。

 

「ピンク色の象を想像しないでください」

 

と言われて、想像しないように頭(大脳新皮質)で打ち消してもピンク色の象がイメージされてしまうでしょ(笑)

 

プルデンシャル生命事件を心理学的に読み解く

「自社の商品を売ること以外は一切何もしてはいけません。もちろん辞めて代理店に出てもプルデンシャルの商品は扱えません」

というメッセージ(ルール)は、

「未成年はタバコを吸ってはいけません。お酒を飲んでもいけません。」

と言われると、つい吸ったり飲んだりするヒトと同じです。

 

ヒトは言葉に反応して行動するのではなく、無意識で古い脳が反応して行動してしまうのです。

 

「クローズな方針(ルール)がプルデンシャル生命の大量金銭不祥事件を招いた」

 

というのがソニー生命と対比したワタスの見解ですがいかがでしょうか(え?全く的外れ?)

 

これはマネジメントでも同様で。

 

「面談数を増やしなさい」の裏には「お前は面談しないから業績が上がらない」という否定的な裏メッセージがあり。

「残業せずに早く帰りなさい」の裏メッセージには「もっと効率的に仕事しろよ」という否定的な裏メッセージがあり。

「あなたの成長のためにアドバイスしてるんだから言うこと聞きなさい」の裏には「私の支配欲や評価を満たしなさい」という裏メッセージがある。

上司の発信する言葉の裏側にある本心が潜在意識(古い脳)に伝わるのです(相互信頼があればその限りではない)

その裏メッセージを無意識で古い脳がキャッチすることで逆に行動しなくなるのです(無意識で)。

もしくは。

腑に落ちないままイエスマンとなり、表層的に(イヤイヤ)行動することで成果に繋がらなかったり、ストレスで心を病んだりする可能性が高くなるということです。

 

経営者やマネージャーは言語(のみ)で指示命令しても部下は素直に動かないということを自覚する必要があるのです。

では部下はどうすれば主体的に動いてくれるのでしょうか。

 

そりは。

 

大脳新皮質で理解させるのではなく。

古い脳で感じさせること。

深く気付かせること。

 

具体的には。

 

上司が行動で見本を見せること(言葉ではなく)

揺るぎない信頼関係(ラポール)が構築されていること。

問いかけて。

理路整然とした答えを求めるのではなく、グチャグチャで良いので感じたままを喋らせて(古い脳に素直に)深い気付きを促すこと。

それを許容する心理的安全性を組織に根付かせること。

極力指示命令を減らし、部下を信じて自主性に任せること。

 

ヒト対ヒト、組織対ヒト、家族対ヒト、コミュニケーションは実に奥が深く、突き詰めると死後の世界にまでいっちゃうのです(機会があればそのネタは後日・・)

 

いずれにせよ。

 

話を戻すと。

 

盛田ファウンダーが説いたアントレプレナーの精神から「倫理」というブレーキが外れ、「稼ぐ自由」というアクセルだけが踏み続けられたことが両社の命運を分けたと言えるかもしれません。

本来盛田ファウンダーが描いたアントレプレナーとは、自由であると同時に、誰よりも強い「自律心(セルフコントロール)を持つ者のことだったはずです。

 

もちろん。

プルデンシャル生命のライフプランナー全てに問題があったわけではありません。

創業理念を踏襲し、日々ニードセールスで顧客貢献してきたライフプランナーの方が圧倒的に多いと思います。

今は大変かと思いますが、腐らずに諦めずに生命保険営業の王道を貫かれることを願っています。

そして。

そのルーツを汲む乗合代理店である当社も。

自由と規律のバランスを失わず。

高度な専門性と高い倫理観を持つ金融保険のプロフェッショナル集団となるよう。

改めて組織の高度化をはかっていく所存です(オーーーーーーーッ!)

 

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