実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)     第二十二章 指示命令をしないマネジメントスタイル
実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)     第二十二章 指示命令をしないマネジメントスタイル

第二十二章 指示命令をしないマネジメントスタイル

 

創業当初から暫くの間、圭太は他の経営陣や幹部から度々「うちの社長はリーダーシップが無い」と言われてきた。

 

特に業績が低迷しているときにその声は大きく感じられた。

 

経営において理想的なマネジメントスタイルとは何なのか。

 

MBAや著名な経営者から学べば身につくのだろうか。機関車のような「俺についてこい」型経営者がいいのか、サーバントリーダーシップと呼ばれる召使型のマネジメントスタイルのほうがいいのか(大きなビジョンや目標の実現にまい進している仲間を支援(=奉仕)するリーダーのこと)。

 

おそらく100人経営者がいれば100通りあるに違いない。

 

そもそもリーダーシップとは何なのか。

 

定義は多岐に渡るが、一般的な概念は、

 

「指導者たる地位または任務。指導権。指導者としての資質・能力・力量・統率力。」

 

とある。

 

圭太が起業する前の指導者としての経験は保険会社で9年程度。60人程度の組織をマネジメントしていた。その組織はフルコミ(完全歩合制)の社員の指導管理であったため、圭太のマネジメントの原型はその環境で培われたものだ。当時、ほとんどが年上だったこともあり、また個人事業主的な立ち位置であったため、極力指示命令を抑え、問いかけながら気づいてもらうコミュニケーションを意識していた。

 

そのやり方で全国でも高生産性を維持していたのだ。もう一つは圭太自身が元々指示命令されることをあまり好まなかった。ヒトは指示命令されることでモチベーションを落とし、自ら意思決定することでモチベーションを上げるものだという価値観を持っていたのだ。よって経営トップという立場になっても過去のスタイルを踏襲し、更にそれをブラッシュアップし、極力指示命令しないマネジメントをしようと決めていたのだ。

 

トップダウンで組織をコントロールするのではなく、社員が自律的に判断し、主体的に動く会社にしたかったのだ。

 

圭太は創業当初に作成した経営ビジョンの「組織と人の在り方」の中に、

 

「個々の価値観を認め合い、全員が「経営者思考」で行動できる自律型社員を養成しながら成長し続ける企業」

 

と記している。

 

果たして、そんなマネジメントスタイルで規模を大きくし業績を上げ続けることは可能なのか。スピーディな意思決定や的確な判断ができていくのか。圭太は保険業界に新しいビジネスモデルで変革し、保険営業パーソンの存在価値を上げるという目的の他に、マネジメントスタイルを今までの指示命令型ではなくインディアンの長老型マネジメントで成長させるということも、起業時における挑戦でもあったのだ。

 

もちろん圭太にもコントロール願望はあった。時にはトップダウンですべてをコントロールしたほうが早くて確実と思うこともあったが、それでも圭太は社員を指示待ちの受動型人間にしたくなかったし、そのやり方を押し付けるのではなく、営業シーンでもマネジメントシーンでも自らそのスタイルを実践しながら部下が真似し、結果的に組織に根付くことを理想とした。

 

―今までは、そのスタイルで何とか成長できた。これからもこのスタイルを大事にしながら、更に組織を成長発展させることができるのだろうか・・・-

 

圭太の挑戦はまだまだ続く。

 

 

―続く―

 

コラム:ホワイト企業のマネジメントスタイル、長老型マネジメントとは

 

ホワイト企業という言葉が、最近使われるようになってきました。これはブラック企業の対極にあります。

 

「ブラック企業」とは、セクハラ、パワハラ、過酷な労働、劣悪な作業環境、給料や残業代の未払いなど、社員の幸せをかえりみない経営をしている企業、あるいは公害の垂れ流しや公序良俗に反するような反社会的な企業をさし、最近では大手広告代理店の労働問題が世間を騒がせました。業績を上げるには少々のブラックには目をつぶる。一昔前ならこんな価値観が当たり前だったのではないでしょうか。

 

一方、経営者の徳が高く、社員思いで、ホワイト企業と呼べるような企業も、昔から存在し、不思議なことに、一般にブラック企業より、ホワイト企業の方が業績は良いケースが多いとも言われています。社員を犠牲にして利益を追求しているブラック企業よりも、社員の幸せを大切にしているホワイト企業の方が、利益はあがっていると。おそらく、合理的に利益を追求するよりも、社員の人間性や「やる気」を尊重するほうが、企業の業績や成長に貢献するという事だということです。

 

この仮説が正しければ、ホワイト企業の数が増えれば、幸せな人が増え、社会はより良い方向へ進化し、おまけに企業の業績もあがり、経済も活性化し、国力も増し、良いことずくめになります。

 

このホワイト企業となるためのマネジメントスタイルに「長老型マネジメント」があります。いわばこれは、MBA等で教わる管理型のマネジメントの対局の考え方です。(以下管理型マネジメントの対比)

マネジメントスタイル:長老型マネジメントと管理型マネジメント

長老型マネジメント やり過ごし型マネジメント 管理型マネジメント
定義 チームが自動的に目標に向かって一丸となって燃える 上司の指示・命令は、ときに無視され実行されない。

チームは一応管理されているが、実質的には自律的、

マネジメントの指導のもとチームは目標達成の努力をする。
目標 上からおろさない。

マネジメント、チーム間で共有

上からおろすが、実行段階で現場で修正される 上からおろす。

マネジメント、チーム間で共有

チームの内情 把握(ソフト) ほぼ把握 把握(ハード)
指示・命令 あまりしない 部下は指示・命令を無視することもある。上司は無視されても怒らない 細かく指導
マネジメント 徳でおさめる 人間性(愛敬)でおさめる 権力でおさめる
最終目標 人を育てる チームの和 目標の達成
行動パターン 順調ならまかせる。

危機的状況ないしは変化が必要なときだけリーダシップを発揮

チームが自律的に行動することを容認 Plan Do Checkを常に実行、指導する。正/誤、善/悪を判定する。

ときには叱る

視点 宇宙的視点 近未来的視点 近未来的視点
部下を 信頼し、包み込む。

評価しない、育てる。

あらゆるメッセージを尊重し、受容する

基本的に信頼し、包容。評価もする 評価する

(なかば信頼、なかば批判)

発想の次元 高い
大河の流れ 見えている 見えていない 見えていない
表現 愚者の大らかさ 愛敬のある賢者 権威ある賢者
能力の発揮 自分よりも能力の高い人が大活躍 能力の高い人がのびる 自分より能力に高い人を抑圧(誰しもが、どこかしら自分より能力が高い)
自我のレベル 成熟した自我に近い 後期自我 自我が肥大

今までのスタイルを急に方向転換することは中々難しいかもしれませんが、これからのあるべきマネジメントとして経営者は注目するに値するのではないでしょうか。

 

(出典元:マネジメント革命 天外伺朗著/ホワイト企業大賞企画委員会)

 

*上記コンテンツは2017年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています

 

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