実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)     第十九章 プラットフォーム戦略。起業時の想いを現実化する
実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)     第十九章 プラットフォーム戦略。起業時の想いを現実化する

第十九章 プラットフォーム戦略。起業時の想いを現実化する

 

圭太が起業を決意したときの想いは、ただ保険代理店として乗合で複数の保険会社の商品を扱ったほうがより顧客ニーズに応えられる、というような安易な理由ではなかった。もちろんそれも重要な要素ではあったが、自社のホームページを作成したときに一番上に掲げた事業内容を「保険事業独立支援システムの開発と運営」にした。

 

これは保険ビジネス、保険営業パーソンはもっと潜在的な可能性を秘めていて、そのポテンシャルを発揮させるためには、保険会社から独立し、その能力やシステムを開発、運営していくことで新しいビジネスモデルを生み出すことができるのではないかと考えたからだ。

 

そのためには、俗人的な保険営業パーソンの能力に依拠するのではなくシステムが必要だった。その一つは顧客管理、契約管理を瞬時に一覧化できるシステムの開発。一人のお客様に対して、複数の保険会社の商品を組合すことで、より顧客ニーズに沿った商品提案ができることと裏腹に、保険会社のシステムだけでは管理できない顧客の複数契約を一元管理できなければ長きにわたるフォローができないことは明白だったからだ。

 

そしてもう一つは、ライフプランニングデータの一元化だった。実は圭太はパシフィック生命に在籍していた時から成し遂げたい夢があった。当時からライフナビゲーターの強みはコンサルティング営業。そのコンサルティング営業の入口は、顧客のライフプランを徹底的に聞くこと。そのライフプランに基づきオーダーメイドの保険設計をするからこそ満足度の高い商品提案ができる。そして契約後はそのライフナビゲーターが終身担当をして最期までフォローしていくことだった。その触れ込みに嘘はなく、圭太もそれを実践していたからこそ高い生産性を維持できたのだ。

 

しかし、圭太は当時からそこに課題認識もあった。それはその最初にお客様とともに立てたライフプランは、保険設計にのみ生かされ、その後そのデータは担当者の頭の中かパソコンの中で眠り続けるだけなのだ。

 

この一般の営業パーソンでは聞きえない顧客の年齢や家族構成や年収などの定量的データと、将来の夢や不安などの定性データを数値化した顧客のライフプランニングデータこそが何物にも代えがたい価値になる。そして終身担当と謳ってはいるものの、保有顧客の増加とともに既契約者への訪問頻度は年々無くなり、結果的にはお客様の方から何かの申し出がない限り「放ったらかし」状態になってしまうという、新規契約を取り続けないと生きていけない保険営業の性(さが)ゆえに発生する「顧客への想いと現実のギャップ」をどうにか解消することはできないかと考えていたのだ。

 

そしてその解決案が「顧客の会員化」による会員サービスだった。物理的に担当者ではできない顧客への関心をその担当に成り代わり、組織として関心を寄せ続ける仕組みだ。俗人的ライフプランニングデータを組織として一元管理し、組織としてそのデータを追いかけ続け、ライフイベントの変化にコミュニケーションを取ることで、顧客も喜び、担当も保険の見直しや紹介に結び付けることが可能になる仕組み。

 

「本来ライフナビゲーターのライフという意味は人生とか生活という意味や。決して生命保険という意味やない。ならお客さんの生命保険を提案するだけでなく、人生や生活全般の夢や課題に寄り添いながら、様々な商品やサービスを提案し、本気で夢の実現をサポートすることが使命になるような組織と人を創りたいんや。」

 

圭太はその夢の実現に向け起業を決意し、まずは顧客管理システムの開発に着手した。そしてこのシステムを乗合代理店のプラットフォームにし、「このシステム無しには乗合代理店の運営は不可能」と思われるくらい普及させるつもりだった。またその後の構想として、保険営業パーソンの強みである「顧客との信頼関係に基づくライフプランニングデータの蓄積と一生涯担当するヒトとの深い関係性」を武器として保険以外の価値提供を行うことで、新しいビジネス、新しい職業を生み出したかったのだ。

 

もちろんその開発フェイズと普及フェイズは一足飛びには進まず、幾度も壁にぶち当たることになる。

 

 

―続く―

 

 

コラム:想うは易し、実行するは難し、成功するはなお難し

 

起業して成功する確率はどのくらいあるのか。因みに国税局の資料によると30年後の生存率は0%だそうです。厳しい現実ですね。

 

とは言え、フィンテックやAIなど世の中では次々と新しいサービスや企業が生まれてきます。もし、起業して成功したいと思うなら、アイデアをアイデアで終わらせるのではなく、まずは行動を起こすこと。もちろんそこには大きなリスクがあります。そのリスクを極力最小限に留める方法はやはり周到な事前準備でしょう。それは事業計画や戦略をしっかりとドキュメントに落とし込み、成功確率を推し量ること。そこに人やお金というリソースをどれくらい投入できるかも重要な要素です。

 

ただ、私の場合は周到な準備をしたうえでの起業ではなく、むしろ辞めること自体は直観に近いものでしたが、それでも決断してからはそれなりの準備はしたつもりです(笑)肌感覚ですが、起業も新規事業も、想いを実行に移せる人は1%~10%未満ではないでしょうか。そして更にその中から成功できる人は1%~10%程度。

 

順風満帆でスタートアップから成功まで行きつくのは0.1%の天才か強運の持ち主。

 

その他の成功者は、「なぜ、その事業をやりたいのか」というその事業に対する想いや動機が明確で命をかけても、有り金全部はたいても良いくらい本気かどうか。そして、とにかく口に出し続け、諦めずに取り組み続ける行動力と継続力ではないでしょうか。

 

これはあくまで私の経験値ですが、じっくり考えて慎重に行動して1発1中を狙う人と、なんでも直観的に決断して早く始め、やりながら軌道修正してく経営者、いくつか失敗してもまた諦めずに行動に移す10発1中型の経営者のほうが結果成功確率は高いような気がします。

 

それでも最後にモノをいうのは、最後まで諦めない継続力。

 

人生は死ぬ直前まで成功かどうかわかりませんからね。

 

*上記コンテンツは2017年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています

 

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