実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)     第十五章 強みを探り強さを活かす。教育事業発進
実録風小説「ザ・購買エージェントへの道(起業編)     第十五章 強みを探り強さを活かす。教育事業発進

第十五章 強みを探り強さを活かす。教育事業発進

 

圭太は今回の騒動を教訓とし、一人の男をヘッドハンティングしようとしていた。今回の教訓とは、やりたいことを自分ひとりで進めるのではなく、その想いに共感してくれる人に託し任せるということ。新しいことを始め、新しいことが回りだすとどうしてもそちらに頭や時間が割かれてしまう。

 

まだ盤石ではない組織の中でトップがそちらに肩入れしてしまうと、どうしても既存事業とのコミュニケーションが疎かになり、溝ができてしまう。経営トップが部分に集中しすぎると全体が見えなくなるということが問題だということに気付いたのだ。

 

しかし研修事業には思い入れがあった。起業するときから手掛けたい事業として思い描いてきたことでもあった。

 

―保険募集人の力を引き出し、その魅力や実力をもっと世の中にしらしめたい。そのスキルや能力をもっと社会に活かしたい-

 

圭太は、まだまだ定着率が低く、一般消費者や社会からの評価が低い保険募集人という職業の存在価値を高めたかった。この業界で活躍するトップセールスの優秀さを世の中に認知させることが起業の想いでもあったのだ。

 

その彼らのコンピテンシーを分析すると、それは極めて高いコミュニケーションスキルであり、初対面から人を引き付ける人間関係構築力。このスキルを可視化し、プログラムに落とし込み、更に彼らが現場で講師として教えることで、あらゆる業種業界の営業パーソンに役に立てるのではないかという仮説を立てた。そしてそれをまず自らが実践し、一定以上の成果を上げていたのだ(もっともこれが原因で組織を崩壊させたのだが)

 

では、誰に、どんな人に託せばいいのか。圭太には一つの確信があった。それは過去の経験値の中で培われてきた圭太なりの確信だった。

 

「井藤ちゃん、営業所長という立場で研修をやって、保険を売れるように部下を育成することもそれなりにやりがいはあると思うけど、もっと広く人材開発のスペシャリスト、教育のプロとしてうちでやってみない?社内講師という立場やなくて社外講師の立場は、その企業が本当に価値を感じてくれなければお金は払ってくれん。その立場にならんと本当の意味でのプロにはなれんし、その立場になるからこそ講師として成長もできる。実はもう俺はこれ以上研修講師として時間を割くこともできん。俺の代わりにうちの研修事業を引き継いで欲しいんや。自分で採用した保険営業マンだけでなく、あらゆる業種の営業マンに営業の本質とスキルを提供し、単なる物売りでなく、本当の意味で顧客貢献できる購買代理人を世の中に広げる仕事や。

ほんで保険の営業マン出身者が実はめちゃくちゃ優秀なんやということも世の中に知らしめたいんや!

どや?やりがいあると思わんか?」

 

井藤は圭太が10年在籍していたパシフィック生命の後輩。芸人から大型トラックのドライバーというユニークな職歴を経て保険業界に転職し、今は営業所長をしていた。

 

圭太が井藤を見込んだのには理由があった。

 

彼は自らのスキルを高めるため、自己啓発として自腹で外部の様々な研修を受け、かなりの時間的金銭的自己投資をしていることを知っていたからだ。

 

人の想いの強さを測るのは簡単だ。

 

その想いに対して、どれだけの時間とお金を投資しているかに尽きる。井藤は自らのスキルを高めるため、大好きなクルマを手放してまで、そのお金を様々な研修代に充てていた。自ら起業した経験上、大切なものを捨ててでも手に入れたい想いは必ず結果に表れることを圭太も身をもってわかっていたのだ。

 

「朝倉さん、どこまでやれるかはわかりませんが、やらせてもらいます!」

 

研修事業の個人レベルから事業レベルへの転換だった。

 

―続く―

 

コラム:何かを得たければ何かを先に捨てること

パソコンの容量が一杯になってくるとよくフリーズ(固まる)しますよね、そのときの対応策は過去にインストールしたソフトの中でいらないものを捨てること。するとまたサクサク動いてくれるようになります。iPhoneで撮った写真が容量一杯で保存できなくなることもあります。そんな時はいらない写真を削除しなければせっかく撮った新しい写真を保存できません。

 

人の能力もよく似ています。限られた時間の中で仕事をすすめる場合や限られたリソース(人、モノ、金)の中で事業を成長させようとしたとき、優先順位の劣位にあるものを捨て、強化したいことにそのリソースをシフトしないと、どれもが中途半端になって結果競合に勝てなくなります。

 

でも捨てることには一定の勇気がいります。「せっかく買ったのに」「ようやくここまできたのに」「大事にしてきたのに」「結構これまで投資してきたのに」と。その思い入れが強ければ強いほど中々捨てられないのが人情というものです。

 

経営コンサルタントの大前研一氏はこう言います。

 

「人間が変わる方法は3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つめは付き合う人を変えること。最も無意味なのは決意を新たにすることだ。」 と。

 

この言葉も1つ目は現状の時間配分の中で無駄な時間を捨てて意味ある時間を増やすということですし、2つ目は今まで住んでいた土地や家を捨てるということですし、3つめは過去の人間関係のしがらみを捨てるということに他なりません。

 

要はその人の決意の強さや重さを推し量るとき、どれだけ大切はものを捨てて臨もうとしているかを見れば、それだけでその人の決意の強さ、本気度がわかるのです。

 

言葉だけの新たな決意程当てにならないものはないということですね(笑)

 

*上記コンテンツは2017年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています

 

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