圭太は過去の人生や職場において人間関係でトラブった経験が無かった。むしろ人間関係を良好に構築することが営業職でもマネジメント職でも成果を出してきた自ら最も得意とするコンピテンシーだという自負があった。今回はその慢心が裏目にでたのだ。
この業界はフルコミッション(完全歩合)の世界なだけに独立するプランナーは元々実力のある者だ。保険を売って稼ぐならある意味どこに行ってもできる強者たちが独立する世界なのだ。
それだけにマネジメントすることは難しく、仲間割れが発生し、その組織が割れるケースは度々あった。
まさか圭太は自分の起こした会社でもそんなことが起こるとは思ってもみなかったのだ。
「もう、朝倉さんにはついていけない。」
まず副社長が独立を宣言し、他の取締役や幹部、そしてその関係性が強いプランナーたちが次々とその組織への移籍を表明していった。
人はその場を去る時、もう人間関係を維持する必要がなくなったときに本音が出るものだ。
コンセンサスを取って進んでいるつもりだった。
元々の計画に基づいて投資をしているつもりだった。
勝手に黙って進めているものは何もなかった。
けれど次々と辞めていく者が圭太のところに来ては、圭太の考え方ややり方を非難しては去っていく。
「そんな風に思われていたのか・・」
「なぜその時にそれを言ってくれなかったんだ・・」
「え?ずっと共感してくれていたじゃないか・・」
圭太は職場の中で、悔しさと自分への情けなさとが入り混じった感情を抑えきれず、泣いた。
とめどなく涙が止まらなかった。
人生初の挫折だった。
―続く―
『成功に向かう道には、いくつもの地雷が埋まっている。成功が実現するに応じて、それと等価の困難や障害が用意されていたのだ。その地雷は、仕事の範囲内で爆発するわけではない。ビジネスで勝ち得たことが、ビジネスで失うものになる。そんなシンプルな因果関係で収まるならば、まだ対応できるだろう。自分が痛い思いをすればいいだけの話だ。しかし現実は違う。全く想定しないところで、どちらかといえばプライベートな部分で、地雷は爆発する。』
上記は神田昌典氏のビジネス小説「成功者の告白」の一説。私にとってとても感慨深い一冊です。
なぜ感慨深いかというと、その昔、起業して曲がりなりにも急成長している最中に「この本、読んどいたほうがいいですよ。」と誰かに薦められて読みました。その時、小説としてはとても面白かったのですが、その内容をどうしても「自分事」として捉えられず、「うちはあまり関係ないな~」とタカをくくっていたら、間もなく会社でとんでもない事件が勃発したからです(笑)
一般的には創業時のメンバーがそのままその会社に居続けて成長するケースは少ないと言います。それは勢いや利害でスタートしたものの、少しづつ理念や方向性にズレが生じてきて、徐々にその距離が広がり、そして関係が破たんするというパターン。
もちろん同じ船に乗って漕ぎだす前にしっかりとコンセンサスを取るにこしたことはありません。
ですが、私はある程度は勢いも大事だと思っています。起業時のエンジン、創業してからのエンジン、成長期のエンジン、企業のステージごとに駆動するエンジンが異なるのも現実なのです。
また、起業してから最も成長するのは圧倒的に「社長」という立場です。
それは最終意思決定をする立場でもあり、NO.2や3でも理解できない様々なプレッシャーやストレスに晒されながら、自らが成長していくからこそ企業も成長していくからです(でなければ会社はとっくに無くなっている)
そうなると、同じ想いで始めた創業メンバーでもその社長との能力が開いてきます。
しかし、得てしてその能力の差を他の創業メンバーはわからず、社長の言動や行動が理解できなくなってきます。
そして、一旦は人が離れていくのです。この現象を企業の成長サイクルと捉え割り切るのか、そうならないように心して創業メンバー全体がコンセンサスを取りながら共に成長軌道に乗せていくのか。それもすべて社長の采配次第ということでしょう。
いずれにせよすべては社長(ワタシ)の未熟さが招いた結果ですから。
いずれにせよ社長がすべて責任を取って解決していくしかないのです。
経営者の皆さん。
「すべての体験は未来への投資」と思い、前進していくしかありませんね。
参考文献:成功者の告白(神田昌典)講談社
*上記コンテンツは2017年に上梓したものを多少手直しし、再掲しています
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