教育論。トンビがタカを生むために必要な三つの処方箋
教育論。トンビがタカを生むために必要な三つの処方箋

2月5日


いつも2月になると思い出すことがあります。

実は私は今から21年前の2月、32歳で保険業界に足を踏み入れました。


仕事は保険契約が手数料(収入)に直結する完全歩合制というスタイルでしたから気持的には脱サラ、「俺は独立するんだ」という決意で臨んだ転職でした。リクルートされた際、ビデオですがカリスマ創業者から「ライフプランナーという仕事は自分で自分の歯車を回すアントレプレナー(独立企業化)であり、価値ある存在だ」と語りかけられ、よりその意識が醸成されたのでしょう。


そして私は所長、支社長という職を経て、10年後の42歳で改めて本当の起業をすることになります。


当時、高校生だった双子の息子にアホ呼ばわりされました。


「親父何考えてんの?まだ俺らこれから大学も行かなあかんのに無謀なことして。エー歳してアホちゃう?」

と。確かに支社長としてそれなりの地位や収入もあり、家も購入したばかりで多額の住宅ローンを抱えてましたから最もな話です。


その後もう1回アホ呼ばわりされたことがあります。

 

それは彼らが就職活動をしている頃、「お前らありきたりの就職なんかせんと漫才師になったらどうや?」

 

と珍しく本気でアドバイス?したところ。

 

「あんな親父、子供が芸人目指すゆーたら親が止めるのが普通やねん。逆に親の方が漫才師なれてゆー奴おらんでしょ。アホちゃう?」

 

思えばどちらも仕事がらみの会話でしたが、別に息子にアホ呼ばわりされたことを根に持ってるという話をしたいのではありません。

実はそのボンクラ息子たちがこの度起業することになったという話です。親がリスクを冒して起業することに反対し、リスクある仕事(漫才師・・)を親に勧められて反対したにもかかわらずです。

それも私より全然若いタイミング、27歳です。まずは2号(弟)が先月に退職し、1号(兄)は間もなく合流するようです。

仕返しに「お前らみたいなひよっ子が独立なんてアホちゃう!」とアホちゃう返しを言ってやりたいところですが、まぁそれも大人げないのでやめておきましょう(笑)

この話を誰かにすると「やっぱり蛙の子は蛙ですね」とよく言われます。

ただ、私的には起業するという意味では事実ですが、どうせ例えられるなら「トンビがタカを生みましたね。2人がかりですが(笑)」と周りから言われるくらいになって欲しいと思うわけです。

基本私のスタンスは常に誰にでも「自分の人生なんやから好きにすれば」なので、成功しようと失敗しようと本人たちの意思で独立起業するという行為には賛成しています。なぜならその経験は結果的に自身が成長できるということを知っているからです。

 

ここで少し教育について考えてみたいと思います。

 

「教育」とは意図的に人に影響を与えるということですね(一歩間違うと洗脳になります)

なぜうちの息子たちは独立するという道を選んだのでしょう?

私は自分の息子たちに独立を勧めたことは一度もありません。いや、それより以前からあまり教育をした記憶がありません(汗)なぜなら仕事ばかりの人生で家にあまりいなかったからです(更汗)

人生は少なからず親の影響を受けますが、問題は親の何に影響されるかということです(これは起業自体が良いとか凄いということではなく親の影響を受けるという観点の話です)

 

私の仮説は父の「行動」と母の「父への評価」です。

 

まず前提は、子供は親の「言う」ようには育たず、親の「する」ようにしか育たないということです(親を上司とか社長に、子供を部下や社員に置き換えても同じこと)

 

例えばご飯食べた後に横になって肩肘ついてお笑い番組かなんかを観ながら「ご飯食べたらすぐに勉強しないと将来偉くなれないぞ」なんて言っても、多分その子は自分の部屋に戻って勉強せずに親と同じようにベッドに寝そべりながらファミコンでもやってる可能性が高い。逆に、特に子供に口で言わなくても道で前から歩いてくる人に「こんにちわ」って明るく元気にあいさつする親を見ている子供は、自分も同じようにちゃんとあいさつする子供になる可能性が高い、という感じでしょうか。

 

ヒトは直接のコミュニケーションでは「言葉」ではなく「行動」に接して影響されるということですね。

 

もう一つは。

 

「人は信頼する第三者の影響を受ける」ということです。

 

平たく言うと「俺は凄い」と自慢するより「あの人は凄い」と信頼してる人から聞いた方が信じられ、結果影響を受けやすいということです(まず俺は凄いと自分で言う人に凄い人はいませんが(笑))この場合は妻、つまり彼らの母親です。

 

アメリカの事例ですが、ある時期ベトナム戦争で父親が戦場に駆り出され多くの子供が母子家庭で育ちました。一般的に母子家庭で育った子供はグレる確率が高いと言われます。ただ現実は母子家庭でもグレる子供もいればグレない子供もいるわけです。そこで家庭調査を始めたところわかったことがあります。それは母親の影響です。一番身近な信頼できる存在である母親が父親のことを子供にどう伝えていたかです。

 

「うちのパパは凄いヒトなのよ。あんな素晴らしいヒトはいない。あなたもパパみたいな人になりなさい」と刷り込まれてきたのと。

「うちのパパは最低。給料は安いし、怠け者だし。絶対パパみたいになっちゃダメよ。」と刷り込まれてきたのと比べると答えは明らかですね。

 

子供がグレるかグレないかは父の存在そのものではなく、母の言動に影響を受けているということです。子と父とにあまり接点が無い場合(私のように・・)、例えばどんな仕事をしているか、日頃社会でどんな立場として存在しているかなど子供は知る由もありません。それは側近にいる者(母)からの情報から間接的に入るしかないわけです。それにより父親は憧れの存在にもなれば最悪の存在にもなるわけです。私の場合、妻からはいつもボロカスに言われてますが、いない所では褒められていた可能性があります(笑)

で、何が言いたいかと言いますと。

 

本人が意識しようと意識しまいと、人は人から影響を受けています。

直接的に影響を与えるのは言葉ではなく「行動」で。愉しそうに会社に行く姿や、仕事上の電話のやり取りなど無意識の行動や言動で評価されている可能性が高く、それを自分なりに感じて「こんな風になりたい」とモデリングしていきます。

そして間接的に影響を与えるのは信頼できる第三者からの「評価」ではないのかと。

これは企業に置き換えても同じですね。

それなりの組織になりますと社員は経営者と直接言葉を交わす頻度が下がります。でも視界に入る行動や誰かと話している内容は聞こえてきますので、それを見て評価され影響を与えているということです。

そして間接的には直属の上司から言葉で伝わります。「うちの社長はこんな人だ」「社長はこう考えてる」とか。その上司の感情のフィルターを通った言葉で表現され、それを聞いた部下は社長とその分身である会社を評価するのです(その上司が信頼されているかにもよりますが)

ここで大事なのは家庭ならパートナー(配偶者)と信頼関係を構築していないと適切な評価(もしくはそれ以上の評価)が子供に伝わらないのと同じで、会社の場合側近の部下(右上左腕)と信頼関係が構築されていないとスタッフ全体に適切な評価(それ以上の)が伝わらないので結果良い影響を与えられないということです。

話をまとめますと。

もし子供や部下を自分以上に成長させたいなら、まずは愉しく活き活き働く姿を行動で見せること。そして側近のパートナーとの信頼関係を構築し、間接的に発信される評価を高めることではないかと思うわけです。

特に企業の場合、次世代次々世代と永続的に企業を存続させ、できれば更に成長させていく必要があります。

ということは。

経営者がバトンを渡していくために、悪くても蛙の子は蛙、できれば常にトンビがタカを生む組織にならなければ更なる発展は無いということです。

それができるかどうかは、常に自らの行動で示すこと、トンビ(自分)以上の評価をしてくれる信頼できるパートナーのフォロー体制、そして付け加えるなら自分の能力を超える部下の存在を心から喜べる度量を持てるかではないでしょうか。

つまらないプライドや嫉妬心、君臨欲を捨て、自分以上の能力を持つ存在を認められる器にならないとせっかく育ったタカはやがてどこかに飛んでいなくなるでしょう(笑)

これからも蛙よりタカを生み出す親であり経営者を目指そうと思います。

 

May I holos You?

~あなたらしい素敵な活き方応援します~

堀井計

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